やっと2月が終わりましたね。
私としては大声で『バンザイ!』と叫びたいぐらい、イマイチ2月は調子が出ない月なのです。
どう調子が出ないか…というのも説明できないぐらい、とにかくただ何となくドヨヨ~ンとする時期ってありません?
ま、気分の問題なら気分の問題でもいいの。
今日から3月だから。
押し並べて寒さに負け続けた感のある今年の2月でしたが、
先週の土曜日だったかしら。
近所に住むダイアナさんとエンジェル・ジャスコちゃんと3人でご飯を食べていたの。
適度にお酒も呑んだりしつつ、次の日は朝からサンジャポだわ~と、帰る気満々だった私に久しぶりに囁く声がしたのです。
土曜日は2丁目で肉乃小路ニクヨさんがお店に入ってる…。
―ねぇ、今からニクヨさんとこ飲みに行かない?
―明日サンジャポ起きれるの?
―大丈夫。長居はしないから。
そんなやりとりをひとしきり終えると、ジャスコちゃんが一言。
―ダメよ。ニクヨさんとこ行くなら、塗ってかなきゃ!
『塗る』というのは、私たちの業界では、『化粧をして衣装を着る』という意味です。
華やいだ土曜の夜に、女装仲間を訪ねて行くのに、スッピンって法はない。
ジャスコちゃんの言う通りです。
久しぶりに、ピシャッと頬を叩かれた気持ちになりました。
しかし、時間はすでに24時を回っています。
そこで、今度は私が提案してみました。
―ねえ、今から一斉に家に戻って、30分で塗って、再び集合しない?
こんな週末の戦闘モード、何年振りだろう…。
一目散に家へ戻り、とてつもないスピードで顔に色を入れてゆく様は、
まさに私たちが20代を過ごした青春そのものでした。
例えば親が風呂に入っている20分を利用して、化粧をして実家を飛び出し終電に乗った土曜の夜。
もしくは雑居ビルのガラス窓を鏡代わりに、道行く人を背に化粧をして、ダンスフロアへと乗り込んで行った週末。
あ~。女装ってこれよ!これ!
そんな高揚感を抱えながら、私にとってメイク時間30分など、もうお手のものです。
ほれっ。
シャラランとショートのウィッグをかぶって、毛皮を羽織れば完成です。
ヒゲをそる時間も今は必要ないしね~。
ただ、ヒゲもそって、ちゃんと下着まで替えたジャスコちゃんの化粧と衣装は、私の数百倍も派手な上に、
週末の襲撃にはピッタリ過ぎて、私なんかただ珍しくて付いて来ちゃった一般人のようでしたよ。
もちろんダイアナさんも、安定した悪質さを醸し出しておられました。
そしてめでたくニクヨさんが働くお店に、無事襲撃を済ませ、とっても女装らしい土曜の夜を過ごしましたとさ。
すでに酔っ払っていたため、写真なんて撮るの当然忘れるくらい楽しいひとときでした。
で、すっかりオトナになった私は、ちゃんと数時間後には始まるサンジャポのため、ひと足先においとまを…。
結構フラフラきていたのは覚えてます。
そして、なかなか部屋の鍵が見つからず、ついには玄関先に座り込んだのも覚えています。
どうやら、鍵より先に携帯が、カバンの中から出てきたようで…。
そして、どうしても自撮りしなければ気が済まなかったようです…。
何をそんなに睨みつけているのでしょうか…?
行き倒れの娼婦が最後の力を振り絞って発光してるみたいです。
気付くと、この恰好のまま、ちゃんとベッドで寝ていました。
飛び起きて、まず化粧を落として、シャワーを浴びて、そしてすぐにまた化粧をする…という、
地獄の苦行のような日曜日の朝でした。
そして何よりもびっくりしたのは、いつの間にか立ち寄っていたコンビニの袋。
中身を取り出してみると…
私を多少なりとも知ってくださっている方なら、この有り得なさ、分かりますよね?
甘いもの、特にチョコレート類をほとんど口にしない私が…。
この衝動は、いったい何なのでしょうか?
私にとっては、もはや奇行に近いものがあります。
そしてよく見ると、ちゃんとイチゴ味と抹茶味しか選んでいないという徹底ぶり。
そうなの。
イチゴ味と抹茶味のチョコに関しては、常日頃から『アリかも…。』と思っているんです…。
何様よね…。
それにしても何?
私、我慢してるのかしら?
酒飲みとして、意地を張っているのかしら?
それとも、猛烈に疲れてる?
こんな風に、2月は私を振り回すのです。
と言いつつも、結局しっかり呑んでるし、しっかり仕事もしているし、
あとは春を待つ悦びに身を任せましょう。