今年は節分が124年ぶりに2月2日と前倒してやってくるため、立春が2月3日となります。
━ 物語のピリオド
季節を締めくくる冬最後の「節分」
季節をひとつの物語に例えれば「冬土用」のラストシーンが終わり、「節分」は春夏秋冬がエンディングロールで幕を閉じるような瞬間です。古く「節分」は立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ前日で、も
なかでもこの立春の前日は「春夏秋冬」が新旧交代する重要な日で、七十二候もここが最終候となっています。
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━丑寅ウシトラにまつわる、鬼門の呪術
鬼は「陰・穏」の転訛した言葉で「暗闇」の象徴。
大寒から立春は1年を1日に例えたときの午前2〜3時の丑三つ時から寅の刻にあたり、満ちた陰気に怪異が夜行する「逢魔が時=大禍時」とも。その闇と光の境目は、鬼の出入りする鬼門、陰陽道の最高神である冥府の神「秦山府君」の住処、死後と常世が繋がる異界のゾーン、生と死の輪廻転生 の際、そうした自然の生成消滅の転換点がこの立春の季節の持つ働きに重ね合わせられています。
また季節を方位とする陰陽五行では“節分=丑ウシの最後、立春=寅トラの始まり”ですから、「節分と立春」は“ウシ+トラ”のコンビで、完全な“終り”と同時に、完全な“始まり”の「終始・始末」を全うすること意味しています。
一般的にオニの姿形はウシの角にトラの毛皮をまとったウシトラの化身、※「鬼はそと福はうち」も「陰オニ」を追い出すことで、暖かい春である「福」を招き入れるための呪術的な合言葉。金棒を持った鬼に対して、そこに煎り豆という陽の気(火)を込めてぶつける鬼退治の風習は、「魔目=魔滅=豆」によって「陰・夜・闇・寒」を滅し、冬と決別して春と呼ぶための呪術的セレモニーなのです。
この「冬土用」は特に変化の多い時期、たとえ苦難や厄災が多かったとしても、たいていのことは朝になれば夢の跡、陰(オニ)も魔もまぶしい光によって姿を消して、いよいよ春の目覚めのときがやってくる!というわけです。
※「鬼はそと福はうち」は一般的な例。「鬼はうち、福はそと」または「福はうち、鬼もうち」など風習によってそれぞれの意味する解釈があります。また中国で鬼(クェイ)は死霊、死者の霊魂を表します。
とのこと。