これはきっと、そんな下らない答えしか残っていない程、全てを極めた者だけが放つ事の出来る、最も深い名言ではないだろうか。


もしくは、イチローのお茶目さも伝えたいと思った編集者側の演出だ。


だからこの名言の並びに書いてあってもおかしくないんだ。そう言い聞かせた。




あかんやろ。


せめてちょっと離しておまけみたいに載せろや、なに同じ感じて載せてんねん。

戸惑うわ!


『イチローがこんないい事言うてるぞ、声に出して読んでみろ!』


そうやって野球を続けるか迷ってる息子を、奮い立たせようと思ってる父親の耳に、


『キャンタマですかね。』


て息子の口から聞こえて来た時の事も考えないと。


『そうや、やっぱり男やからな。キャンタマは男の象徴や!すなわちキャンタマを磨くと言うのは、技術だけでなく、自分というものを常に磨き続けると言う事や!』


そう、とっさに言う事が出来るだろうか。


僕は深呼吸をした後ゆっくりと目を開いた。


コンビニを出ると辺りはすっかり暗くなっていて、夜空には大きな満月だけが、キャンタマのように輝いていた。。