先日、メガネが壊れた。

僕は非常に目が悪く、外ではコンタクトだが家ではメガネをかけている。

デザイン的には、非常にシンプルな黒縁メガネだ。

しかし、朝起きた時にメガネを踏んでしまい、耳にかける部分が折れて壊れてしまった。

しかも両サイド共…。

今僕はこの危機的状況を、接着剤とテープを使う事で切り抜けている。

そして黒いビニールテープを使う事によって、ちょっと遠めから、更に薄めで見ると、黒いフレームと黒いビニールテープが重なって、テープをぐるぐる巻きにしている事が分からないという、斬新なアイデアを使用している。

桝本君は、僕のその発想力溢れる非凡さに嫉妬しているのか、もしくは自分の平凡さを突きつけられてるようで腹が立つのか、

『はよ新しいメガネ買ったら。』

と、メガネを見る度に言ってくる。

しかし今回の事件で改めて思った事は、

『メガネの不完全さ。』

である。

メガネはその性質上、何処にあるか分からなくなる事が多い。

しかしメガネを探そうにも、肝心の視力を奪われているので全く見つける事が出来ない。

この場合、メガネ探し用のメガネが必要となってくるが、じゃあその、メガネ探し用メガネを見つける為には…?

こうなればもう、メガネとメガネ探し用メガネの鼬ごっこだ。

きっと部屋中にメガネが溢れ、どれがメガネでどれがメガネ探し用メガネかも分からなくなってしまう。

正義も悪も、慈愛も憎悪も、全てがごちゃ混ぜになって一つの部屋で渦を巻き始める…。

そしてブッダは、静かに目を閉じたのだろう…。