ラヴァーズ 第三話 Ⅱ





「……何してんだ?」


朝、お弁当を作っていると奏が来た。ちなみに、少し腹ただしいことに青葉はまだ寝ている。


「弁当作り!…うーん、ごめん、青葉の分もあるから甘いものないんだ。」


少し探したが、甘いものはなにもない。


しかも、明日香はけっこう料理が苦手だ。初めて作った時よりはよくなってきたものの、味は本当に保障できない。


お菓子ならかなり作れるが。


明日香は味覚がすごく優れており、一度食べたスイーツ系はけっこう作れる。


「…大丈夫。」


奏はいつも通りの小声。前は大声出していたのに。


そして、いきなり明日香はハッとした。


「……あ!!今日朝練あったの忘れてたっ!!奏君、青葉に弁当渡しといてもらっていい!?」


急がないと間に合わない時間だ。今日は助っ人で頼まれた野球部の朝練だが、参加はできるだけしたい。


「余りは?」


よく見るとお弁当の残りの卵焼きがあった。


「えーっと…適当に!!」


適当というのはよくわからない。奏は明日香が走って事務所をでるのを見届けると辺りを見、卵焼きを食べた。


「………苦い?」


何故か見た目は普通なのに焦げているような苦味&小さい卵のカラが入っているのか口の中でなるガリッという音。


やはり明日香は料理が下手なのか?


「はよー、あ、弁当?」


青葉が来た。かなり眠そうだ。


「奏なんか食ってたよな?うまいかまずいかの判断、お前の顔見てもできねーんだよな。」


奏は基本無表情なため、顔を見て判断するのは難しい。


「ポーカーフェイスはテレビにでる身としてはいいことじゃないねー。」


いつの間に輝が来て言った。




ちなみに、こんな風にしゃべっている中、明日香は走っていた。


明日香は足が速いため間に合うだろう。


「あっ!」


「あ?」


ベタな展開?曲がり角で少年とぶつかった。


お互い転んだ。


その少年はかなりチャラい?


「いてぇな。」


少年は立つとカバンを拾った。


髪は金髪、ピアスをつけ、ブレスレッドなど色々つけている。


不良のような……


「ごめんなさい!急いでて!」


「桜岡中か、俺は八神中の南優紀。今から用あって桜岡中行くんだけどよー、場所教えてくんね?」


笑顔で少年、優紀が言った。見た目は不良だが中身は普通の人?


「あ、だいじょーぶ。俺さー、ぺったん興味ないんだよな!だから襲ったりしねー……」


「さよなら。」


明日香はひきつった笑顔をうかべると優紀の服の首元をつかみ、投げた。


普通にむかついたから。


「何すんだよ、アホ!」


優紀は怒っていたが明日香は朝練に遅れそうだったこともあり、早足で歩きだした。


「おい!無視してんじゃねーよ!」


優紀も早足で追いかけてきた。まぁ、桜岡中にいこうとしているなら明日香についていくのが一番いいだろう。


「おい!……ぺったんこ女!!」


優紀がそう言うと明日香は立ち止まり、振り返ると殴った。


だが、止められた。


「そーか、ぺったんで気ぃ悪くしたのか!ぺったん、ぺったん!!」


「ぺったんぺったんうるさいな!ド変態っ!!」


明日香は大声でどなると優紀を蹴り飛ばしてまた歩き出した。


「だーかーらー!場所教えろって、ぺった……っと!」


優紀は走って追いかけ、つまずいた。


そして後ろから明日香に抱きつく感じに。


「……左、まっすぐ、左!ついてくんな、痴漢変態!!」


明日香は優紀を蹴り上げ、また歩き出した。


「八ー坂先輩っ!痴漢にからまれたんですかぁ?」


笑いながらそばに来たのは青葉の友達の翠。


「私何もみてないよ?」


明日香は優紀をないものとしている。


「あの人、八神中で有名な不良ですよ?学校1強いと。先輩、タメ関係なく全員ツブしたそーですっ!」


ニコッと笑って翠が言った。


輝のように翠も人のことについて詳しい。


「え、あの人何歳なの?」


「南優紀、12歳、中1!とあるアイドルグループ、南幸希の双子の弟!」


優紀は明日香の前にでると言った。


ゆうきとゆきという名前はどうも間違えやすい。双子とはそういうものか?


「あー、おなかすいたなっ!八坂先輩、なんかもってませんかぁ?」


いきなり翠が言った。翠もかなり不思議な人だ。


「えっと、今はこれくらいしかないいんだよね。」


明日香はカバンからお弁当を出した。だが、これをあげるのは……


「おべんとー?くれるの?やった!」


翠は笑顔でお弁当をあけた。見た目は普通だ。


「八坂先輩料理苦手なんですか?卵焼きにカラが入ってますよ。それに色々焦げてます。」


見た目じゃカラや焦げなんてわからない。翠はかなり目がいいのか?


翠は卵焼きを食べるとやはり微妙な顔になった。


「んー?焦げとカラさえなければおいしいんだけどなぁ?でもありがとーございます!」


結局少し弁当をもらい、翠は満足そうだった。


そして明日香が重大なミスに気付くのはお昼だ。




「青葉っ!…今日お弁当なんだぁ!!少しもらお!」


青葉と翠はいつも一緒にお弁当を食べている。


お弁当と言っても買っているものだが。


「少しだけね?これ、アスが作ってくれたから。」


青葉は笑ってそういうとお弁当をあけた。そして翠は固まった。


「……あれ?これってアスって人が作ったんだよね?」


「え?なんで??そうだけど。」


翠が見た明日香のお弁当と青葉のお弁当は全く一緒だった。

卵焼きの焦げ、カラ、そのほかなど全く同じ。


「おっかしいなぁ?」


翠は少し笑うと席を立った。


「ちょっと用事思い出した。今教室に誰もいないし一回行ってくるね。」


「?うん。」


正直青葉には何しにどこに行くのかわからないが、うなずくと1人、お弁当を食べ始めた。


「よー、結城ぃ、さっき森野がでてったけどいいのか?1人で弁当食ってて。」


そして、翠が出て行ってすぐ、クラスメイトが教室に入ってきた。




「八坂先輩?少しいいですか?」


空とお弁当を食べている明日香は翠に声をかけられた。


「ん?」


明日香が翠のとこに行くと翠は明日香を超見ている。


「あ、本人だ!なんで気づかなかったんだろ。」


そしていきなり翠が笑顔になった。よくわからない。


「僕、ラヴァーズメンバー、青葉の友達なんですよ!」


それを聞くと明日香は固まった。気づいたのか?


「へ…へぇ、ラヴァーズと知り合いなんてすごいね?」


とりあえずごまかしておいた。だが、それを聞くと翠はより笑顔になる。


「ラヴァーズって、まだ一般公開されてないんですよ?八坂先輩、なんで知ってるんですか?」


……はめられた?やはりこの人は明日香=アスを知っている?




そして青葉は、


「おい、弁当手作りか?めずらしいな!」


またクラスメイトに囲まれている。


「………」


青葉は無言で食べ続けている。


「おい、なんとか言えよ!」


クラスメイトの1人が青葉のお弁当をひっくり返した。


かなり悪質な嫌がらせだ。


「弁当くわねーのか?おい、食えよ!」


全員笑っている。青葉は無言のまま立ち、教室をでた。


無視に腹が立ったのかクラスメイトの1人は追いかけた。


「おい!結城、無視してんなよ!」


「うるせーな、しつけぇんだよ!」


青葉は振り返ると殴った。


「なっ……テメェ生意気なんだよ!」


クラスメイトの1人は殴られたとこから血が出ていたが、気にせず青葉を押した。


喧嘩のような感じだ。


青葉はバランスを崩し、後ろにあった階段に落ちた。