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 4月4日・朝6時よりNHKBSプレミアムにて再放送が開始されている『葵 徳川三代』。

 

 

 初回放送から19年を経て、なぜこのタイミングで再放送なのか?そのことについて、軽くしたためておきたい。

 

 本来この再放送枠に割り当てられる予定だったのは『真田丸』、であったのだが、残念ながらそこは新井浩文事件の影響である。しかし思いも寄らなかったことだが、この再放送、意外なまでに好意的に受け止められている。

 

 そもそもがこの『葵 徳川三代』、どうしても特徴を語る上で外せないのが、配役陣の年齢の高さ。

 

 初回放送時の2000年には「高齢大河」などと呼ぶ声もあった位だ。

 
 『徳川三代』制作当時の主要出演者の年齢

 

 徳川家康(58)      → 津川雅彦(61)
 徳川秀忠(22)      → 西田敏行(54)
 石田三成(41)      → 江守徹(57)
 
 江(28)               → 岩下志麻(60
 淀殿(32)             →  小川真由美(62)
 高台院(北政所)(53)  →  草笛 光子(66)

 

 

 

 

 いまでは考えられない配役だと思うが…明らかになっていないながらも、ここは脚本・ジェームス三木『独眼流政宗』とまた異なった狙いをもって配役を考えていたのではないかと思う。

 

 さらに後年、『おんな城主 直虎』にて「竜宮小僧」?に扮したらしいナレーションで出演した中村梅雀が、ここでは「水戸光圀」に扮してナレーションを務めるという、当時としては異例な構成だったことも特筆すべきだろう。

 

 とはいえやはり、『葵 徳川三代』といえば忘れられないのは、初回「総括関ヶ原」から1時間にも及ぶ関ヶ原の描写を、莫大なる製作費、緻密な時代考証、膨大な数のエキストラ、CG等を盛り込んだシーンだろう。初回から勿体ぶらずに、大方の大河視聴者が求める合戦のダイナミズムやリアリティを一気に開示したのは、非常に爽快な気分を覚えた。


 さらにもう一つ。『葵 徳川三代』を語る上で忘れてはならないのは、近年の戦国大河にてまるで判で押したかの様に何度も何度も描かれた徳川家康の描き方…『戦国時代に終止符を打った、徳川幕府260年余の平和な治世の生みの親』だの『大坂の陣にて豊臣家を滅亡させたのは、決して野心からではない』だの…これらに異を唱えた嚆矢となったことではないだろうか。

 

 そして私は、ここで大河の歴史を紐解いてみる。

 

 ドラマとしての大方の視聴者の「腹落ち」を重視したからなのかわからないが、家康が主人公または重要人物となる場合、かの山岡荘八原作の作品が非常に多い。


 古くは『春の坂道』、そして1983年の『徳川家康』、1987年の『独眼竜政宗』を経て、大河における家康の「平和なる治世の探究者」としての描かれ方は、『葵 徳川三代』の後も、

 

『江 〜姫たちの戦国〜』

 

『軍師官兵衛』

 

『おんな城主 直虎』

 

といった、山岡荘八原作とは全く関係のない作品でも往々にして見られた。大河における「戦のない世をつくろうと真摯に努力した平和主義者」というイメージが固定化された弊害である。

 

 ※ 橋田壽賀子の手による『おんな太閤記』はグレーゾーンかも知れないが、無批判に山岡荘八の歴史観に追従した訳ではないのは見て取れる。

 

 そもそも山岡荘八という人は、『春の坂道』収録開始にあたって、出演者の中に「大坂の陣で秀頼を死なせたのは家康の責任」という考え方の人間がいたのを知り、わざわざ出演者を集めて原作の主旨を説明、己の歴史観を周知徹底せしめる位の、大の家康の信奉者であったのだから、ある意味致し方ない。

 

 だがこれを無批判に踏襲した近年の作品群は、単に自身の頭で考えずに「山岡史観」に染まっていただけのことだと思う。

 

 ともあれ大河ドラマの歴史を通じても、この「山岡史観」に真っ向から反した作品は『真田丸』、そしてこの『葵 徳川三代』、だけなのだ。これはジェームス三木が1987年の『独眼竜政宗』の脚本を通じて、「山岡史観」に従った家康の描き方に物足りなさや不満を感じたせいかも知れない。

 

 

 ネットの声では「やっと今年の大河が始まった!」などと皮肉る声も散見されるが、今年の『いだてん』、来年の『麒麟がくる』を横目で見ながら、大河ドラマってそもそも何なの?を考え直してみる上では、いまは好機なのではないか…とも言えるのである。

 

2000年 大河ドラマ 【葵 徳川三代】データ

[放送]
2000年1月9日~2000年12月17日(全49回)

 

 

[脚本] ジェームス三木

[音楽] 岩代太郎

[語り] 中村梅雀

[演出] 重光亨彦、尾崎充信、佐藤譲、渡辺一貴 他

 

初回視聴率22.6%、最高視聴率22.6%、平均視聴率18.5%

 

[出演]

徳川家康 :津川雅彦

 

徳川秀忠:西田敏行

 

徳川家光:尾上辰之助

 

水戸光圀:中村梅雀

 

江:岩下志麻
淀殿:小川真由美

高台院(北政所):草笛 光子

 

細川忠利:小栗旬

 

竹千代(少年時の徳川家光):山田孝之

 

その他

 

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NHK BSプレミアム 『おしん』

2019年4月1日(月)より 毎週月曜から土曜
午前7時15分から午前7時30分まで 15分×297回

作 : 橋田壽賀子

音楽:坂田晃一

語り:奈良岡朋子

 

出演:
小林綾子 田中裕子 乙羽信子 伊東四朗 泉ピン子 東てる美 中村雅俊 大路三千緒 長岡輝子 石田太郎
小林千登勢 並樹史朗 渡辺美佐子 北村和夫 高森和子 今福将雄 高橋悦史 浅茅陽子 大橋吾郎 野村萬
渡瀬恒彦 赤木春恵 ほか

 

初回放送:昭和58年4月4日~昭和59年3月31日 総合 連続テレビ小説