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 2020年大河ドラマは『麒麟がくる』…明智光秀に長谷川博己、脚本に『太平記』の池端俊策とくれば…もうこれだけで、後がないNHK大河ドラマは、今度こそ本気になったのだと信じさせてくれる要素がある。他のキャスト発表および詳細がまだあまり明らかになっていないのは残念だが、何せ今年の『いだてん』は東京オリムピック噺、脚本はクドカン、時代は近現代史である。それが悪いと言っている訳ではない。だが、大河の歴史を知る方々はおわかりの通り、近現代は幕末明治維新に匹敵する鬼門なのだ…

 

 

 1983年の『徳川家康』(主演:滝田栄)から1987年の『独眼竜政宗』(主演渡辺謙)までの3年間、NHK大河ドラマは近代路線を突き進んだ。だが予想していた成果は得られることはなく、結局は『独眼竜政宗』のメガヒットを契機に、従来の戦国時代、幕末明治期、江戸時代、その他のより古い時代…を扱う路線へと回帰した。

 

 ちなみに、「近現代路線3部作」なんて呼ばれることもあるこの時代の3作品は以下の通り。

 

 山河燃ゆ(1984年):第二次世界大戦を初めて扱った。原作は山崎豊子。
 春の波涛(1985年):明治・大正期が舞台、脚本は中島丈博の、大河の中でも最も異色な作品。
 いのち(1986年) :ほぼ完全に現代史。脚本・橋田壽賀子。近現代三部作では平均視聴率が一番高かった。

 

 要するに近現代史路線は、33年振りに不成功に終わった路線に再度回帰することを意味しているのだ。当時よりも視聴率が低下している上に脚本家含む製作者のレベルも低下しているこの2019年に何故?数少ない期待出来る要素があるとしたら、それは従来の大河の概念に捕らわれず、また過去の大河もほとんど知らないらしいクドカンが、斬新な切り口を我々に提示してくれることか…ただし私は、もう2019年は、大河ドラマは休止になったつもりで『いだてん』に臨もうと思っている。

 

 では一部では早くも話題にしているが、2021年は何やるの…結論から言わせてもらうと、2021年は通算5回目になる「赤穂浪士」「忠臣蔵」をやるべきだと信じている。

 

 戦国、幕末明治維新、おんな大河(たまに源平合戦)…もういい加減にこのローテーションにも斬新さが無いし、だからといってその他の時代は、現在の大河製作者たちには荷が重過ぎる。

 

 過去には平将門の時代(名作『風と雲と虹と』)、室町末期応仁の乱(『花の乱』)、モンゴル帝国と元寇(『北条時宗』)なんて異色な時代も取り上げられたが、当然どれもこれも、戦国や幕末明治より格段に難易度が高い…とてもとても、森下佳子や中園ミホ、田淵久美子に脚本が書けるハズがない。

 

 ではもう、くだんの鉄板ローテーションを繰り返すしかないのか?いやいや、過去4度大河で扱われ、しかも脚本にしやすくてしかも書き手の試金石としてはうってつけのテーマがある。

 

 それが赤穂・忠臣蔵、なのである。

 

 では過去の、赤穂・忠臣蔵作品をここに紹介しておこう。

 

 『赤穂浪士』(1964年1月5日~12月27日) 大河ドラマ第2作目。

 

 原作:大佛次郎『赤穂浪士』
 脚色:村上元三
 音楽:芥川也寸志

 

 出演:
 大石内蔵助:長谷川一夫
 りく:山田五十鈴
 大石主税:中村嘉葎雄
 大石吉千代:市川團蔵
 八助:片岡半蔵
 浅野内匠頭:尾上梅幸
 他

 

 赤穂浪士討入りの回には、視聴率53.0%という大河ドラマ史上最高視聴率記録を打ち立てた。

 

 『元禄太平記』(1975年1月5日~12月28日) 大河ドラマ13作目。

 

 原作:南條範夫『元禄太平記』
 脚本:小野田勇 他
 音楽:湯浅譲二

 

 出演:
 柳沢吉保:石坂浩二
 柳沢兵庫:竹脇無我
 大石内蔵助:江守徹
 堀部安兵衛:関口宏
 陸:岡田茉莉子
 徳川綱吉:芦田伸介
 他

 

 忠臣蔵事件を5代将軍徳川綱吉の側用人・柳沢吉保の側から描くという異色作。石坂浩二が若い。OPと音楽の美しさは歴代の赤穂忠臣蔵作品で随一。


 『峠の群像』(1982年1月10日~12月19日) 大河ドラマ20作目。

 原作:堺屋太一『峠の群像』
 脚本:冨川元文
 音楽:池辺晋一郎

 

 出演:
 
大石内蔵助:緒形拳
 石野七郎次:松平健
 竹島素良:多岐川裕美
 浅野内匠頭:隆大介
 吉良上野介:伊丹十三
 他

 

 江戸時代の元禄と現代(放送時)が、同じ時代の方向が変化する時期となる「峠」の時代だとする原作者・堺屋太一の観点を軸に、赤穂事件を現代的に描いたドラマ。


 『元禄繚乱』(1999年1月10日~12月12日) 大河ドラマ38作目。

 原作:舟橋聖一『新・忠臣蔵』
 脚本:中島丈博
 音楽:池辺晋一郎
 演出:大原誠 他

 

 出演:
 大石内蔵助:中村勘九郎
 りく:大竹しのぶ
 浅野内匠頭:東山紀之
 吉良上野介:石坂浩二
 徳川綱吉:萩原健一
 柳沢保明→柳沢吉保:村上弘明
 堀部安兵衛:阿部寛
 他

 

 2019年現在、最後の赤穂忠臣蔵大河。萩原健一演じる徳川綱吉が最高である。打ち上げで脚本の中島丈博と大石内蔵助役の中村勘九郎が殴り合いをしたという伝説を持つ一作。お勧め。

 

 振り返ってみてわかったのだが、もう既に2019年時点で20年間、赤穂忠臣蔵ものが作られていないのだ。それまではおよそ、10年~20年の間隔で赤穂忠臣蔵の大河ドラマは制作されていたというのに…2021年に制作されなければ、タイミングを逃すくらいの時期には、もう来ているだろう。2021年大河はもう、歴代5回目の赤穂忠臣蔵で決定である。

 

 ただし私からは、これだけは譲れないという条件を一つ提示したい。

 

 それは、脚本を三谷幸喜にすることである。というか、もう、三谷幸喜以外の適役がおるまい。

 

 

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前編 ~水を制す~

後編 ~金貨の町~ 

 

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 市村正親、高嶋政伸

 佐々木蔵之介、生瀬勝久、優香、千葉雄大、マギー、藤野涼子、勝野洋、上杉祥三、今井朋彦、松重豊

 柄本佑、広瀬アリス、林遣都、伊原六花,高橋和也、吉田鋼太郎

 他

 

語り:石坂浩二