今回の基準は計算でも重要だったりしますので、意味も理解していただくといいと思います。

ちなみにこの基準は第129回日商簿記1級の工業簿記問2で出ましたね。


【二二 等級別総合原価計算】

 等級別総合原価計算は、同一工程において、同種製品を連続生産するが、その製品を形状、大きさ、品位等によって等級に区別する場合に適用する。

 等級別総合原価計算にあっては、各等級製品について適当な等価係数を定め、一期間における完成品の総合原価又は一期間の製造費用を等価係数に基づき各等級製品に按分してその製品原価を計算する。

等価係数の算定およびこれに基づく等級製品原価の計算は、次のいずれかの方法による。

(一)各等級製品の重量、長さ、面積、純分度、熱量、硬度等原価の発生と関連ある製品の諸性質に基づいて等価係数を算定し、これを各等級製品の一期間における生産量に乗じた積数の比をもって、一期間の完成品総合原価を一括的に各等級製品に按分してその製品原価を計算し、これを製品単位に均分して単位原価を計算する。

(二)一期間の製造費用を構成する各原価要素につき、又はその性質に基づいて分類された数個の原価要素群につき、各等級製品の標準材料消費量、標準作業時間等各原価要素又は原価要素群の発生と関連のある物量的数量等に基づき、それぞれの等価係数を算定し、これを各等級製品の一期間における生産量に乗じた積数の比をもって、各原価要素又は原価要素群を按分して、各等級製品の一期間の製造費用を計算し、この製造費用と各等級製品の期首仕掛品原価とを、当期における各等級製品の完成品とその期末仕掛品とに分割することにより、当期における各等級製品の総合原価を計算し、これを製品単位に均分して単位原価を計算する。

 この場合、原価要素別又は原価要素群別に定めた等価係数を個別的に適用しないで、各原価要素又は原価要素群の重要性を加味して総括し、この総括的等価係数に基づいて、一期間の完成品の総合原価を一括的に各等級製品に按分して、その製品原価を計算することができる。


〔解説〕

まず色分けしている詳細ですが、青は今回の簿記検定で出題された部分でその他の色は計算で必要になってくる可能性があるキーワードと言うことになります。


そして計算に関係するキーワードの解説の前にですが、各原価計算の関係を記載したいと思います。


原価計算には下記のような関係があります。
(下に行くほど計算が簡便的になっていき、正確性が低くなっていきます。)


  個別原価計算

     ↓

組別総合原価計算

     ↓

等級別総合原価計算

     ↓

単純総合原価計算


上記の関係のように等級別総合原価計算は組別総合原価計算と単純総合原価計算の間にあるので、そのどちらかに近い方法によって計算方法が変わってくるというわけです。


そこで登場する計算方法が皆さんもご存知の「完成品原価按分法」と「当月製造費用按分法」ということになります。


それを判別するために基準を理解して判別しなければいけないわけです。

(簿記検定は基本的に計算方法が指示されている場合が多いですが、前回の全経上級では自分で計算方法を判別させて計算させたそうです。)


そこでキーワードの色分けですが、赤が単純総合原価計算に近い方法でピンクが組別総合原価計算に近い方法です。


まず「完成品原価按分法」は赤色で表示しているキーワードです。

「一期間における完成品の総合原価を等価係数に基づき各等級製品に按分」とありますが、ここの部分が完成品原価按分法を表しています。

また完成品原価を求めるのに等価係数を考慮していない点から見て簡便的、よって単純総合原価計算に近いことを表しています。(この点からアウトプット段階からの計算だとも言えます)

また等価係数の算定も「各等級製品の重量、長さ、面積等原価の発生と関連ある製品の諸性質に基づいて」と言うところから製品が完成した段階(製品の品質基準)から算定していることがわかります。

よってこの等価係数の算定もアウトプット段階での計算と言うことが分かります。


そして次に「当月製造費用按分法」はピンクで表示しているキーワードです。

「一期間における製造費用を等価係数に基づき各等級製品に按分」とありますが、ここの部分が当月製造費用按分法を表しています。

また製造費用を等価係数に基づき各等級製品に按分から完成品原価を求める時も等価係数を考慮して計算していることがわかります。(この点からインプット段階からの計算だと言えます)

そこから見てこの計算方法はより正確性がある組別総合原価計算に近いことが分かります。

そして等価係数の算定も「各等級製品の標準材料消費量、標準作業時間等各原価要素などの発生と関連ある物量的数値等に基づき」と言うところから原価財の消費量基準から算定していることが分かります。

よってこの等価係数の算定もインプット段階での計算と言うことが分かります。


簡単にまとめると

単純総合原価計算に近い場合(アウトプット)で等価係数の算定がアウトプットだと完成品原価按分法

組別総合原価計算に近い場合(インプット)で等価係数の算定がインプットだと当月製造費用按分法

となります。


簿記検定で出題されるのかはわからないですが、例外として総合原価按分法と言うものがあります。

それが紫色で表示しているキーワードです。

これは単純総合原価計算(アウトプット)に近い場合で等価係数の算定がインプットの時に使われます。

当月製造費用按分法との違いは期首仕掛品の取り扱いで違いが出ます。

どう違うかは計算の時に解説できればしていきたいと思っております。


すごく長くなりましたが、覚えるべきは簡単にまとめた部分で、その他は理解に使用するのがベストだと思います。


これから先の試験でどのように出題されるのかは分かりませんが、一度出題された以上、またこのような形で出題される可能性はあると思います。


リスクヘッジをするためにも覚えておいて損はない基準かなと思っています。


以上です。


この記事が皆さんの参考になれば幸いです。