見たのはいつだっただろう。


まだ私が小学生低学年くらいの時。


子機がない頃で、リビングにあった電話。


電話をしている知っていたので、


リビングに母を見に行った。


思えばなんで行ったのかわからないけど、


私はだいぶの母親好きなので。




泣いていた母。


受話器を握り、電話の向こうの人に向かって。


訴えるように。


電話の向こうには、母の父。


私の祖父がいた。


後で聞いたのだが。


「もう、別れたい。出て行きたい」


ぼんやりと覚えている言葉。


私の父であり、母の夫である男がどうしても嫌だったのだ。


私の同じで、父親の事は嫌いだけれど。


小学生低学年の私には何を言う事もできない。


泣いている母を見て、言葉を無くして、


ただただ見ていたのを覚えている。


慰めも出来なかったし、言葉も掛けれなかった。


そこで私の記憶はぷっつりと終わっている。


泣いている母を見たのはそれが初めてだった。


後に、もう一度見ることになったけれど、その時は私も泣いていた。






今までに、二度だけ見たことのある母の涙。


お願いだからもう泣かないで。


私は泣くけど、お母さんは泣かないで。


そう思ってしまうのは勝手すぎるのかな。