ことばのチカラ ~成功へのターニングポイント~

ニッポン放送

2018/02/12(月)21:00~21:30

放送内容メモ2/2

(放送内容メモ1/2からの続き)

金子 では、本職のピッチャーとしての話。
うわ、こいついやだなぁとマウンドで思ったバッターは?

三浦 あんまりいないんですけどね。
相性が悪かったのは、ドラゴンズの荒木雅博選手ですね。
どこ投げても打たれる、そういう時期がありました。
甘い球はもちろんダメ。いいコースに投げても打たれる。バットへし折っても、詰まらせても、内野の間を抜けていったり。
ホームに返さなければいい、と思って投げてました。
年間で7割ぐらい打たれたこともありましたね。
荒木選手本人に聞いたこともあるんです。でも、本人も分からないという。
タイミングをずらしたり、ピッチャープレートを踏む位置を変えたり、いろいろ本当に工夫したけど、ダメでしたね。

金子 逆に、こいつご馳走さまという選手は?

三浦 なかなかいないですけどね。
意外と、4番とか、外国人とか、穴があるバッターは抑えていたんじゃないかと思いますね。コントロールミスさえしなければ、というバッター。
まぁ、ホームを踏ませなければと思って投げていました。

金子 三振が多かったという印象がありますが。

三浦 ただ単に、長く投げさせてもらったからですよ。三振率は高くない。三振が多くなくても、長いイニング投げていれば、三振数は必然的に増えますから。

金子 生涯最高のシーズンは?

三浦 1998年。優勝した年ですね。
2005年もタイトルを取ったということで嬉しさはあった。でも結果、優勝できなかった。
嬉しさ、喜びといったものは1998年とは比べ物にならない。
裏方さんもふくめてみんなと喜びを分かち合えた。全然違いました。

金子 高校のときに、「俺を見ろ」といっていた選手が、大きく変わりましたね。

三浦 入ったころは、「俺が俺が」でしたから。徐々に徐々に変わっていった。
やはり1998年の優勝が大きかった。プロに入ったらビールかけをしてみたいと思っていたけれど、それができた。みんなが幸せになれた。大の大人があれだけはしゃげる。
それをもう一回やりたかった。もう一回優勝したかった。
FAで残ったあとも、優勝したい。それだけでした。
個人の成績よりチームの優勝でしたね。

金子 生命線の球種はなんだったんですか?

三浦 全球種がそうでしたから、決め球はない。総てが平均以上になるように。
その上でのストレートでしたね。
すべての球種がいいと、その中でストレートが生きる。140キロそこそこのストレートでも、しっかりコーナーに投げられれば抑えることができる。
コントロールとキレになっていくんです。

金子 キレを出すにはどういう意識で投げられていたんですか?

三浦 少しでもバッターの近くで投げる。そしてバッターのギリギリまで球を見えないようにしてタイミングを取りにくくする。
手元でキレを出すために、下半身を使って。
その再現性を得るために、体に覚えこませるために、キャンプで投げ込む。シャドーをする。
もちろん肩は消耗品です。だからしっかりケアしてしっかり鍛える。
そうするしか、自分に生き残る道はなかった。140キロのストレートで、150、160キロの球が投げられるわけではない。魔球もない。
ただ言える事は、プロの一軍の選手はどこか怪我を持っている。それとうまくつきあいながら、試合に出ているということです。

金子 それでは、三浦さんの「忘れられないコトバ」をお願いします。

三浦 「己を知りなさい」
ピッチングコーチをされていた小谷正勝さん(現ジャイアンツ二軍コーチ)のコトバです。
ピンチで力ばかり入って、本来の自分でない投球スタイル。
「お前は、全力で投げても150キロ出ないだろう。自分はどういうピッチャーなのか。ピンチで我慢する中で、できることをやりなさい」と。
アドバイスを受けてからも、何回も失敗しました。
それを繰り返す中で、ここはボール球を振らそう、そういった自分のスタイルが徐々にできるようになっていった。
意外に冷静になれるようになった。だんだん客観的になれるようになっていった。
日本シリーズが終わった後ぐらいからでしょうか。
大舞台で失敗して、自分をじっくり見られるようになったという感じがあります。

金子 大きな舞台は、成功体験だけでなく、三浦さんのように失敗体験も大きな財産になるのですね。

三浦 もちろん、成功すればなお良かったわけですが。

金子 三浦さんはこのたび「踏み出せば何かが変わる」(青志社)を出版されました。

三浦 自分自身、何回も壁にぶち当たってきました。悩んで悩んで次にどうしようかと。
そういう時に、まず一歩踏み出す。踏み出せば少しだけかもしれないけど新しい景色が見える。必ず変わることができる。成長していける。そんなことを書かせていただきました。

金子 ドラフト6位で入団して、剛速球も魔球もない。そういうなかで名球会に手が届こうかという172勝をあげられた。
三浦さん、プロで成功するためには何が必要なんですか?

三浦 気持ちですね。
プロに入ったころはみんなギラギラしている。最多勝取ろう、ホームラン王になろうと。
それが1年たち2年たつとだんだん慣れてくる。現状に満足して、2軍でもそこそこ生活していけるだけの給料はもらうことができる。
選手はいずれか辞めるときが来る。その時に後悔しないためにはどうするか。それを考えることだと思います。

金子 なぜ三浦さんはプロの世界で失敗しなかったんでしょうか?

三浦 失敗をしたからです。もう二度としないと。まわりの方々のおかげです。
あとは言い方は悪いけれども、常に「欲」を持っていた。
もっと給料をもらおう、いい車に乗ろう、今度は外車に乗ろうと。
そのために行動していこう。
踏み出せば何かが変わる。
満足しない。年棒もそうだけど、優勝したかったですね。

金子 欲深いですねぇ(笑い)

三浦 欲の塊でしたよ(笑い)

(放送の最後に)

金子 そろそろ終わりの時間となりました。
三浦さんの成功への秘密は若い時の失敗体験にあった。
そこで感じた痛み、鮮烈な記憶が、ドラフト6位、剛速球も魔球もないピッチャーが、もうちょっとで名球会というところまでいけた大きな要因だったのではないでしょうか。

(以上終わり)