贈与の課税には、「暦年課税」と「相続税精算課税」の2つがあります。


よく知られているのが、1~12月の1年間を単位とする「暦年課税」で、贈与を受けた人は、年間110万円の基礎控除が受けられます。



今回は、もう1つの課税制度「相続税精算課税制度」についてとりあげます。



●相続税精算課税制度とははてなマーク



65歳以上の親から20歳以上の子供(子供が亡くなっている時は20歳以上の孫も含みます)への贈与について、子供の選択によって利用できる制度です。



この制度には2500万円の特別控除があり、同じ親からの贈与が2500万円に達するまで複数年にわたって控除できます。


つまり贈与時には26500万円まで税金がかかりません。


贈与額が2500万円を超えた場合には、超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されます。



しかし「相続時精算課税」という呼び名のとおり、贈与した親が亡くなった場合(相続時)には、それまでに贈与された財産を含めて相続税の計算をすることになります。



<相続時の清算>


「贈与財産(贈与時の価格)」と「相続財産」を合計した価格を基に計算した相続税額から、菅に支払った贈与税額を差し引きます。


※支払った贈与税のほうが多かった場合は差額が還付されます。



●選択するにあたってははてなマーク



相続税精算課税制度は、選択制ですから、例えば父からの贈与については選択するが、葉はからの贈与には選択しない(従来の暦年課税にする)ことができます。


ただし、一度選択したら取り消すことができません。



※相続時精算課税制度を選択した親からの贈与については、贈与税の基礎控除は使えませんので、年間110万円以下の贈与であっても贈与税の申告をする必要があります(贈与額累計2500万円まで納税はありません)。



相続時選択制度を利用することにより大型の贈与がしやすくなったり、生前に分割して贈与することで相続争いを避ける手段のひとつになったりもします。



一方、相続税の計算をする際には過去(選択後)に贈与された財産も含めますので、暦年課税で基礎控除を使った贈与をしていたほうが相続税の負担が軽くなる場合もあります(暦年課税の場合、相続開始前3年以内の贈与に限り相続財産と合わせて相続税を計算します)。



また、贈与財産は贈与時の価格で精算されますので、相続時に価格が下がっていても過去の高い価格で相続税が計算されることもあれば、相続時に価格が上がっていることにより反対のこともあるでしょう。


選択する際には、今後の経済情勢も考慮するなど慎重な検討が必要でしょう。



税制改正で、平成27年1月から相続時精算課税制度の受贈者の範囲に20歳以上の孫が追加されることが決まっています。


また、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳以上に変更されます。