700年にも渡る、広い広いオルガン音楽のレパートリー。時代とともに音楽作品も楽器も常に変化し続けてきました。オルガンが作曲家に新たなインスピレーションを与えることもあれば、のちの時代になって、楽器が天才の生み出した未来的な作品に追いつくこともあります。それぞれの時代のオルガンを会いに行くことは、心躍る貴重な体験です。
今回は、後期ロマンティックのオルガンを訪ねてきました!
フランクフルト アン デア オーダー
聖十字架教会
Frankfurt an der Oder
Katholishe Kirche Heilig Kreuz

W. ザウアー作 1901年
Wilhelm Sauer (1831-1916)
3段鍵盤とペダル 46ストップ

46のストップのうち、8フィートが22、半分ほどを占めています。後期ロマンティックオルガンの代表的な製作家、ザウアーの作品です。代表作は、ライプツィヒのトーマス教会、ベルリン大聖堂などの美しい楽器です。

現在でもニューマティックのストップアクション、鍵盤アクションが残されています。

ザウアーは父にオルガン制作の基礎のを学んだあと、フランスのカヴァイエ=コル、ドイツのヴァルカー、またスイスやイギリスでもそれぞれの工房で働き、23歳でドイツに戻ったあと、自身のオルガン製作を始めます。数年後にこのフランクフルト(オーダー)を本拠に、多くのオルガンを製作しました。1900年頃には従業員は約120人になり、生涯で1100台のオルガンを生み出します。
ペダルの真ん中にあるのは、ヴァルツェという装置。これをグルングルンと足で蹴って回すと、手で操作しなくともストップの増減ができます。スウェルペダルは右側のスプーン型のもの。3段階しか止まるところがなく、しかも思ったよりも右にあり、スウェルペダルとヴァルツェの操作に慣れるには相当時間が掛かりそうでした。。笑
美しい音もいくつか聴けましたが、残念なことに1920、30年代に再整音がなされた際に大きくオリジナルの音が失われてしまったようです。また鍵盤のニューマティックアクションの調子も悪く、鍵盤ごとに鳴るタイミングが大きく異なります。。しかし貴重な体験でした。
ボヤボヤ。。860台目のオルガン。
青い青い夏の空、この日は暑かった!

さて、先月末にコンサートを予定していましたが、やはり市の保険局から中止にせよ、との勧告があったようで、泣く泣く見送りとなりました。残念。
しかし2週間後には、ミュンヘンの寮から歩いて10分ほどの教会で、学生みんなでミニコンサートができるようです。本当にできるかどうかは、その日までわかりませんが。。

どうぞみなさんもお元気にお過ごしください!