ドイツの南端、バイエルン州、バーデン=ヴュンルテンブルク州の田舎を旅行すると、のどかな田園風景、かわいらしく小さな家々が点在する村で突然巨大な教会、修道院に出会うことがあります。中に入ってみればバロック、ロココ様式の豪華絢爛な地上の楽園が広がっており、あまりの壮大さに息を呑みます。今回はそんな空間に、南ドイツ最大の名器が鎮座するオットーボイレン修道院教会をご紹介します。
オットーボイレン修道院教会
Kloster Ottobeuren
4段鍵盤とペダル 66ストップ
K. リープ 1766年作
Karl Riepp(1710-1775)

リープは南ドイツに生まれ、ストラスブールの有名な建造家A.ジルバーマンと親交を持った後、パリでオルガン製作を学びました。その後フランスのディジョンに工房を構え「王のオルガン製作家」の称号を得て、ほとんどフランスでオルガンを建造しました。

演奏台、オルガンの中に入り込んでいる!

現在彼の多くの楽器は後世に拡張されていますが、このオットーボイレンの楽器は多くのリープのオリジナルの要素を残す、貴重な楽器です。

プリンシパル、フルート、それぞれ1つで弾いても、思わず耳を奪われてしまいます。演奏台や仕様には彼が学んだフランスの影響を強く残していますが、多くの8フィート、ペダルなどに彼が親交をもったA.ジルバーマンと同じように、フランスとドイツの様式を混合しようとする試みが感じられます。

リヒター、アランなど、20世紀のオルガニストたちもここで多くの録音を残しています。

オルガンにうっとり、上を見上げてみると吸い込まれそうな天井画。


実はリープは、祭壇を挟んでちょうど向かい側にも、2段鍵盤とペダルのオルガンを建造しました。それぞれ、聖霊オルガン、三位一体オルガンといわれています。今回の見学は大きな三位一体オルガンのみでした。こんな立派なギラギラオルガンが両脇に。。当時の繁栄ぶりが伺えますね。


祭壇を挟んで。
現在もベネディクト会の修道院教会として使われています。

リープの肖像。ちょっと怖そう。。

実はワインの販売も行っていたリープ。これが大成功で、オルガン製作よりも多くのお金を稼いでいたとか。お仕事上手だったんですね。


来週の日曜日は、ザクセン州の村、フラウエンシュタインのジルバーマン博物館でコンサートを弾いてきます!現在はブレーメン大聖堂にあるG.ジルバーマンのポジディフのレプリカ、ドレスデンのヴェグシャイダー社のオルガンです。この一週間、しっかり準備してきます!