⑲剣の塔大王敏達の元年(572)旧暦6月12日、蘇我馬子と彼がひきいる兵士たちは、未の刻(午後二時)ごろ、飛鳥川にのぞむ槻曲の宅を出、中つ道にそって奈良盆地をまっすぐに北上していった。まだ真昼をすぎたばかりであり、油照りする陽ざしに、大地はゆらゆらと燃えあがるかのようだ。滝村康介(剣の塔より)