3月31日は、河合幹雄先生のお別れ会でした。犯罪社会学者として著名な先生ですが、心理学畑の方にはユング心理学を初めて日本に根付かせた河合隼雄先生のご子息というほうが通りがいいかもしれません。

 

 なぜBL作家(最近はTLばかりですが)の水戸泉が、そんな立派な先生のお別れ会に!?って、自分でも不思議なご縁ですが、15年前に東京都条例の改正による表現規制問題に関わった時、河合幹雄先生は犯罪社会学者の立場から「エビデンスのない規制はするべきではない」と反対して下さったんですね。それからはボランティアで参加している児童基金の監査をお引き受け下さったり、様々な局面でお世話になりました。

 

 本当に気さくな先生で、飲み会にも時間が許す限り参加して下さって、心理学部出身の友人は「河合隼雄先生のご子息が、なぜBL作家に混じって…!?」と戸惑いつつも嬉しそうでした。好奇心と知識欲が旺盛な先生だったので、池袋の執事喫茶にみんなで繰り出したこともありました。ちょうどその頃、私はタイガーアンドバニーの801同人誌を出していて、池袋のアニメイトを視察した先生から「水戸さんの本、アニメイトで売ってましたね、タイトルは性的接待」と笑顔で言われて「ぎゃああああ!!!」ってなりました(笑)。どんな小さな情報も見落とさない、なんでも楽しめる明るい先生でした。そういう先生だから、犯罪社会学者として人間の闇を見ても、公正な心を失わず笑顔でいられたのだと思います。お別れ会のメッセージに、「孤独だった自分を、河合幹雄先生がゼミに引っ張ってくれたから、無事に卒業できました」と書かれていたのが印象的です。学生に本気で惜しまれる先生ってあんまりいないからねえ。なんであんないい先生が、こんなに早く…って、みんな本気で悲しかったよね。ご冥福をお祈りいたします。先生のご功績の一部は本で読めますので、おすすめ。犯罪社会学に興味のある方はぜひ。