虹が出て、思い出した話。



あたしの記録。



前の仕事をしてたとき。

仕事をしながらときどき、夜勤のアルバイトをしていました。

前の仕事はある程度余裕があったので。

夜勤はあるお家の介護のお手伝いでした。

老夫婦というにはまだ若い、現役を引退し、二人のこれからを楽しむような時期かな。

すごく立派なお家。閑静な住宅街に住んでいました。



筋萎縮性側索硬化症(ALS)



今、有名な大学教授がニュースになっている病気。



体の筋力が落ちていき、最後には呼吸することもできなくなる。

自然な老いがあるのなら、その老いの何十倍もの早さで進行するイメージ。

(これは、あたしのイメージなので、鵜呑みにはしないでください。)



だんな様がこの病気でした。

あたしが出会ったころには、だんな様はほぼ寝たきりの状態。

あたしたちが介助して、全身を押える車椅子で起きるくらい。

文字盤を使いながら会話ができるものの、状態はあまりよくありませんでした。

日に日に落ちていく、状態。

でも、排尿感覚がまだあり、自力排泄でがんばっていました。



介護ヘルパーなどを利用しているのですが、夜間は時間での作業、人の確保が難しい。

時間に合わせてだんな様が起きるわけではなく、奥様が夜間は一人でお世話をしてました。



奥様が知人を通して、私の存在を知り、声をかけられました。

立派なリビング。

その家の歴史が、ここにある。

ここでの生活を楽しみに、現役時代をがんばってきたんだろう。

そう、それくらい、ステキなお家。



あたしはそこに待機。

寝てても、起きてても、なにをしててもいい、と言われ、

ただ、だんな様が呼んだときには様子をみてほしい。という話。

だんな様のそばには、マイクみたなものがあり、

あたしのそばには、その音が聞けるスピーカー。

だんな様の声・呼吸を常に聞いています。

いつ、呼吸がとまるか、

いつ、痰が絡むかも、わからない、生活。

呼ばれる時間はまばらで、まったく起きない日もあります。



最初は不安で1時間おきにのぞいてみたりしたけど、

徐々に慣れ、仮眠を取ったり。

仮眠を取りすぎて、不安になって、声をかけてみたら、呼んでないと言われ。

呼ばないときはそのまま寝せててほしい、と注意を受けたり。

あー。いろんなこと思い出してきた。

懐かしいなぁ。



帰り際にお小遣いをいただきます。

そして、帰り道で、あたし寝すぎでしょ、と、反省して。

朝のバスに揺られ、湘南の海に迎えられる。



もともと仕事柄で慣れてはいましたけど、

あんな風に縁でめぐりあうっていうのは、すごいなぁ、って。

今は思う。



時は流れ、あたしは仙台に帰ってくることも多々あって、

途中で行けなくなってしまって、

引越す少し前にだんな様は亡くなりました。



どこかの重役さんで、

現役時代のスーツを着た、とても素敵な遺影だった。

現役時代にお会いして話してみたかったなぁ、って思う。



いつ、どこで、どんな病気になるかなんてわからないよなぁ。

そうやって、人という生涯を、満喫するか。

そのご夫婦は、最後に夫婦としての時間を家で過ごした。

すごく大変だったと思うけど、いろんな人に助けられて、家で過ごした。

素敵な人生を送ったはず。



ニュースを読んで、そんなことを思い出したのでした。



おわり。