このタイミングだったかどうか全く覚えてないですが、ここでアルバムから1曲。

 


優: 聴いてくれた人いるかな?

 

と言って会場にアンケートを取っていたけど

誰もいなかったもよう。

15時のイベントに参加している人が

イベント前にフラゲして

家に帰ってCD聴ける人いるんやろか。

おらんと思う(笑)←心のつっこみ。

 

優: まだ誰も聴いてないんだね。

じゃあこれが初見になるのか。初聴っていうのかな。

なんて言ったらいいのかわからないけど。

「Mariage」に入っている中で唯一ラブソングじゃない曲です。

 


「少年時代」を歌ってくれました。


ギターの音色に合わせてしっとりと歌う優くん。

そんなに大きくない宴会場が

パ~~~~っと広がっていくような伸びのある声。

会場全体が一気に曲の世界に包み込まれたような感覚になりました。

やっぱり優くんの歌は最高~~~~!!!👏👏👏


 

歌い終わってまた着席し、トークに戻る。

 

佐: 次は先日まで東京で上演されていたミュージカル「NINE」についてお聞きしましょう。

これはフェデリコ・フェリーニの自叙伝を元に作られた作品ですね。

僕は映画版の「8 1/2」を昔見たことがあるのですが

途中で寝ちゃったんですよ。

 

優: 僕も今回NINEをするにあたって

彼の作品をいくつか見たんですが

1度目は意味がわからなくて。

でも何度か見ると

「あれ?これはこういう意味なのかな?」と

わかってきて面白いと思いました。

NINEについても、初めて台本を読んだ時は全然わからなかった。

グイドが普通に話している時に突然「ママ~」という台詞が入ってきたりするんです(笑)

現実と妄想と過去の記憶などが入り混じっている複雑な作品ですね。

僕らは1か月間藤田さんの演出のもと稽古をしてきたので、もちろん理解した上で演じていましたが、

お客さんとしてあれを初めて見たら

多分「・・・で?」となると思う。

この中でNINEをご覧になった方、どれくらいいらっしゃいますか?

 

半分ぐらいの人が手を挙げたもよう。

 

優: 観ていない人は置いてきぼりになってしまって申し訳ないですが、観た人の中で1回でわかった人いますか?

 

誰もないもよう。

 

優: だよね。この作品は2、3回観ると

色んなことが見えてきて面白くなると思います。

観た人の想像にゆだねるというか、余白がある作品だと思いますね。

でもね、今難しいんですよ。

何度も観に来てとは言いにくいご時世だし

一度でも劇場に足を運ぶことができない人もいるでしょうし。

今日もそうです。

これだけの方が来てくださって嬉しいけど複雑な気持ちもあります。

あ、安心してくださいね。

PCR検査で陰性でしたので。

 


佐: 先ほど話に出ましたが、城田さんの声色。

この作品でも声を変えて演じておられますね。

 

優: これについては批判をするつもりは

全くないのですが、僕がお客として舞台を

観に行った時に、どの役を演っても同じ声の役者さんがいるのを見て疑問を持ったんですね。

どの俳優さんもそうだと思うけど

何かに突出したいと思っていて、

僕は役に合わせて声を変えることを意識しています。

ブロードウェイと銃弾という作品では

マフィアの役を演じたのでドスのきいた低い

「おいっ!」(チーチの声)という声だし

ロミオだったらこんな感じ

「みんな僕について来て~あはは~♪」(ロミオの声)って浦井健治さんみたいな。


ここで突然健ちゃんの名前が出てきて吹き出したわ🤣



優: また、話す声と同じ声で歌うようにも心がけています。

話している時は役の声なのに歌い出して急に

僕の地声になったら違和感ありますよね。

これって結構難しいことなんですが。

 

佐: ずっと自分とは違う声で話したり歌ったり

するのって、喉に負担がかかるんじゃないかと思うんですが。

 

優: 僕は喉が強いみたいで案外平気ですね。

去年やったファントムとい作品では

僕とダブルキャストの加藤和樹が

エリックという役を演じたのですが

彼の喉も強いので最後まで演じられましたけど

他の役者さんだと喉が潰れていたかもしれませんね。

叫び散らかす役だったので。

 


佐: 今年1月にはイタリア旅行に行ったとお聞きしました。

城田さんはスペインに住んでいたこともあるということですが、イタリアはいかがでしたか?

スペインもイタリアも同じラテン系じゃないですか。

文化の違いとか感じましたか?

 

優: スペインとは違いますね。

とは言え、僕が滞在していたのは1週間だけだったので

文化の違いとかまでは正直わからなかったです。

ただ、イタリアはスペインより圧倒的にお洒落な人が多いですね。

もしかしたら自分が行った場所がそうだっただけなのかもしれないけど、子供から大人までみんなお洒落。

ある日入ったレストランで僕は入り口近くのテーブルに座ったんですが、お店に入ってくお客さんがみんなお洒落でしたね。

日本だと、例えば真っ赤なスーツを着たおじいさんがいたら

「あれ?アーティストかな?」って思われるけど

イタリアは一般の人がそれをやってるんです。

 

この話を聞いて思った。

大阪のディープなエリアに行ったら

違う意味でそういう格好のおじさんが普通にいそう(笑)

 


優: 働いている男性も日本だとスーツ姿の人が圧倒的に多いけど、イタリアはスーツを着る人の割合が日本と比べて少ないのか

ファッションでより個性が出るという感じですね。

事務所の社長からも許可をもらったので

役作りも兼ねてイタリアで一夜のアバンチュールも期待したけど

実際はウェイトレスさんぐらいしか話さなかったです(笑)
 

佐: 城田さんご自身はグイドの要素はあると思いますか?

 

優: NINEをご覧になっていない方のために一応説明させていただくと、

僕が演じているグイドという男はカサノバと呼ばれる

女性にだらしない男と言いますか、

浮気男と言いますか、まあ最低な男なんです(笑)

舞台が始まる前のインタビューでは

自分にはカサノバの要素はないって言ってたのですが

今演っているからそう思うのかわからないけど

自分にもグイドの要素があるなと思いましたね。

グイドも全ての女性を性的な目で見ているわけではないんです。

この人には安らぎを、この人には刺激を、この人には愛を、この人には優しさをって

それぞれの女性に違うもの求めているんです。

そう考えると、僕も友達の中で、

これはこの人、あれはこの人って

求めるものが違うというか、

分けているかもしれない。

 

佐: なるほど。先ほど城田さんはつかみどころがないと言いましたが、舞台やドラマ、映画、音楽といろいろやられる城田さんは、そういう意味でグイドかもしれませんね。

 

優: 上手い!その通り!

これ昨日から考えていたでしょう?(笑)

 

佐: そんなことないですよ(笑)

お話を聞いていて今そう思いました。

NINEの東京公演は終わってしいましたが、12/5からは大阪公演がありますね。

 

優: やりたくないな~(笑)

本当はこんなこと言っちゃいけないんだけど

ここにいる皆さんは仲間や友達だと思っているので

本音を言いますが、この役しんどいんですよ。

出ずっぱりだしトイレに行く暇もなくて。

 


これはもちろん冗談で、いざ舞台に立ったら120%で演じてくれる男、それが城田優。

 


佐: 演出家の藤田俊太郎さんはいかがですか?

 

優: 熱い方ですね。

僕も昨年のファントムで演出をやらせていただいたのですが

僕と違うのは、藤田さんは細かいところまで演技のことは仰らない方ですね。

僕はかなり細かく役者さんに指示していたので。

熱い方なので、話が始まるとどんどん白熱していって

話がとっ散らかることもあるんです。

そうするとちょっと言い間違えたり、言葉のニュアンスが間違っていたりして。

女性陣は、まあ女性ばかりの作品なのですが、

また始まったねとニコニコしながら見ているんですよが

僕は自分が演出していたこともあって、

藤田さんの気持ちがすごくわかるから真剣に聞いています。

僕もファントムで役者さんたちに話している時に

あまりにも長くなってしまって

1人が手を挙げて「そろそろやりません?」って言ったことがあったんです(笑)

ちゃんと関係性があってのことだったので、凹むとかはなかったんですけどね。

 


佐: 若い頃の城田さんが載っている記事を見たら

「歌は心だ」と仰っていますね。

 

優: 今もそう思っています。

もちろん歌や芝居やダンスなどは上手いに越したことはないし

音を外さないことも大切だけど、でもそこに感情が入っていないと。

例えばピアノで同じ音を弾くとしても

悲しそうに弾いてって言われたらこうなりますよね。

(悲しい感じのピアノの音を口で表現)

この情感がとても大切だと思っています。

 

佐: 今月は城田さんの誕生日もありますね。

おいくつになられるのですか・

 

優: 35歳になります。いよいよです。

 

佐: 僕が仕事でご一緒した方が表舞台から去って

裏方に回ることを最近発表されたんですよ。

あるグループのお方なのですが。

昔はそれこそ60歳で定年でしたが

今は元気な人なら70歳ぐらいまで働く時代だし

そう考えるともうすぐ35歳の城田さんは

今半分のところにいらっしゃいますが

今後ご自身はどういう方向に進んでいきたいと思われますか?

 

優: 色んなことに興味があるので、

あれもやりたいこれもやりたい

というのはたくさんあります。

それこそ大きなことから小さいことまで。

例えばオリジナルミュージカルを作りたいとか

海外の作品に出たいとか。

でもどれもそこまで執着というか執念はなくて。

 

優: 僕らの仕事は自分の肉体や感情を使って

皆様にエンターテイメントをお届けする仕事だから

インプットというか、そういうのが大切なんですよね。

ガソリンがないのにアクセルを踏み続けたらエンストしますよね、

20代の頃はそういう状態がずっと続いていました。

今考えたら信じられないですよね、

昼にエリザべートの公演をやって

夜はドラマや撮影とか。

当時はそんな感じで、映画とドラマ、ドラマと舞台、ドラマと稽古とか、いくつもの仕事を掛け持ちしていました。

 

優: でもある時気付いたんです、自分の心が健康じゃないことに。

心が健康じゃないと身体も健康じゃなくなる。

自分の心が健康じゃないのに見てくださる人に

元気や勇気を与えることはできない。

だから、これからはガソリンがないのに

走り続けるような仕事の仕方ではなくて

心の健康を大切にしながら仕事をしていきたい。

昔から応援してくださっている方は

「最近優くん仕事あまり入ってないな」って思うかもしれないけど

これからはこういうペースでやっていきたいと思っています。

その代わりSNSなどを通じて、僕なりにできることを発信していきたい。

皆さんの心も健康であって欲しいです。

 

優: 僕らの世界は常に数字が伴ってくるんですね。

それこそ舞台やコンサートのチケットが

売れた枚数とか、再生回数とか、

フォロワー数とか、ファンクラブの会員数とか。

意識していなくてもそういう情報が入ってくる。

それを気にして若い頃はいくつもの仕事を入れて無理していたのですが

自分のエネルギーが切れていると何も届けられない。

例えば、自分が欲しい物でなくても

ハイブランドのショーケースに並んでる

10万円のものをもらったら

すごいものをもらったような気になるけど

本当の自分はそれを欲しいなんて思ってないんですよ。

物の価値なんて僕らが勝手につけているだけなんですよね。


 

佐: 先ほど演出のお話も出ましたが、今後また演出をしたいという気持ちはありますか?

 

優: はい。いつかまたやってみたいです。

僕は昔から人形を使って1人で遊ぶのがすごく好きだったんですよ。

いくつかの人形を使って、今日はこれが主役、これは悪役とか決めて、ストーリーを作って

延々と遊んでいるような子供でした。

中学までやっていましたね(笑)

ある時ふと「あれ?誰もやってない」って気付いて止めてしまいましたけど。

 

優: これは役者さんにもよると思うんですが

僕は俳優って作品の中の1ピースだと思うんです。

でも演出というのは全てのピースを持っていて

役者さんの動きや演技、照明、セットなどすべて自分が思う通りに動かせるからすごく楽しいんです。



(続く)