炭鉱の盛栄と衰退が語られる、淡々と、起こること、
死人の血肉をすすってしか生きられない死人葛と共に。
妹への兄の思い。娘への思い。
愛情、などに当て嵌められはしない。
執着。遍愛。陶酔。
死人葛への思いもまた同じ。
「あの、はなす時に、プツプツとちいさく音をたてた
つるの吸盤の、わが肌のいたるところにとりついて、
血を吸いとる、つるの毛細血管の中を一筋の赤い色が、
つっと走り、みるみるわが体の、痩せおとろえ、
やがて肉もそげおち、渋皮まるめた如きみにくい姿と
かわりはて、つるはあたらしい養い求め、自分を捨てる、」
283頁、「骨餓身峠死人葛」、『野中昭如自選作品』
養分として、まぐわい、娘をむさぼる母の姿がまざまざと。
むしろ爽快。