その “香水の人” は時に感情が抑えられなくなる
という事がありました
何が怒りのスイッチなのか本人も
解らないみたいです
本人が解らないならもぅ、お手上げ
いや、もしかして解っていても
どうにもできなかったのかも知れません。
そして、一度スイッチが入ると
長い…
お付き合いする前に噂では聞いていました
彼の知り合いから、
怒りのスイッチのことを…
でも惚れてしまっている私には何の効果もなく、
怒らせる方にも問題があるなんて
楽観的に考えてました
片思いが叶い、お付き合いし
彼の住んでいる1ルームに私が転がり込む形で、
同棲
もちろん私の両親にも挨拶し、
親も公認での同棲でした
そんなある日、お互いの仕事が終わってから、
同棲している部屋から近くの定食屋さんで
ご飯
を食べに行きました
街中の昭和の雰囲気が残っている定食屋さん
注文して、
あぁ頼んだものを作ってくれてるなぁ〜
いい匂いがするぅ
お腹すいたなぁ〜
なんて、頭の中でワクワク
していたときでした。
いきなり、
ドンッ
という音と同時に、座っていたテーブル越しに
振動を感じました
と、同時に彼が、「腹立つわぁ」と
言ったのです…
まさか、こんな外で
2人きりじゃないんだよ
しかも、お店の中で…
もぅ、あれは発作です
怒りの発作が発動しました
お店の中で暴れられたらどうしよう…
瞬時にそう考える程、目がイッてる…
顔色も真っ青になってる…
彼は何度か「腹立つなぁ」と言ったあとに、
自分の自転車
に乗り
帰りました
私…置き去りです
食堂のおばちゃんが、放心状態で
座っている私に、
「大丈夫」と声をかけながら
頼んだカツ丼を持ってきてくれました
私は、ありがたくカツ丼を頂きながら、
付き合う前からわかっていたこと、
これも覚悟して付き合ったんだから…と
自分に言い聞かせながら、
それを腹に落とし込むように
カツ丼を食べました。
でも…お店の人に申し訳なくて…
恥ずかしくて…気づいたら
涙を流していました
食事を終えて、お茶を頂きながら
ふか〜く深呼吸をして、感情を落ち着かせました
お店のおばちゃん、おじちゃんがホントに優しくて
「彼氏の分、持ち帰りにしてあげるからね
」
って、持ち帰れるようにしてくれました
お騒がせしたお詫びと、持ち帰りの用意をして
頂いたことにお礼をし、お会計をして
お店を出ました
持ち帰りの袋の持ち手にギュッと力が
入りました。
鼻から思いっきり息を吸い込み、
口からながーく吐き出します。
さぁ、彼との部屋に帰ろう
気合を入れました
部屋についたあと、彼の怒りの発作の
長さに驚かされるのです