連日大盛況の宝塚版・『ポーの一族』。
私もご多分に漏れずですが、特にトップ娘役・仙名彩世さんの演技に魅了されております。
彼女が演じるシーラ・ポーツネル男爵夫人はそれは魅力的で、演技者としての技術なのか自然に身についているのか、“この世ならぬ者”でありながら侵しがたい「気品」が備わっているのです。
また、永遠の愛を求めて自らの意思でバンパネラに加わる姿からは、因習や束縛から逃れ自由を得た女性の強さをも感じます。
皮肉にも、人でなくなった時から彼女の世界は色づき始めるんですよね。
それゆえ、あえて「困難の連続(の人生)」を選択したシーラの覚悟なども垣間見え、哀愁をたたえながらも大人の女性に成長していくさまは大変興味深いところです。
次に印象的なシーンについてですが、医師・クリフォードを誘惑しその首に噛みつこうとした瞬間です。
優雅な貴婦人が見せる一瞬の狂気とでもいいましょうか、その時だけ「魔物(=バンパネラ)」の顔をするのです。
ここはもう何度観てもゾクッとしますし、毎回ズームで観てしまいます。
こんな表情をする生徒、いや女優がいることに、しかもそれがトップ娘役であることに感謝しなければなりませんね。
『ポーの一族』は明日海りおさんの代表作になりましたが、同時に仙名彩世さんの代表作にもなったと思います。
相手役という立ち位置でなくても、花組の、いや宝塚歌劇団を代表するトップスターと対等に渡り合えるだけの実力を持った娘役は、明日海さんはもちろん、我々観客にとってもとても頼もしい存在なのです。