宝塚歌劇
月組東京特別公演
バウ・ミュージカル
『春の雪』~三島由紀夫著「春の雪」(豊饒の海 第一巻)より~
11月1日(木)
14時~
1階Q列8番
日本青年館大ホールにて
-破滅へ向かう主人公(たち)だが、三島文学の特長といえる「美意識」が至るところから滲み出ていてそれ程「あわれ」を感じない。
いや、それどころか「死」でさえも美しいのである-
原作ファンとしては、登場人物たちの複雑な心模様がどのように描かれるのか大いなる興味と少しの不安をもって観劇に臨んだのですが、いやぁ~いいじゃないですか!
三島ワールドを損なうどころか、予想以上の出来栄えです。
特に主人公・松枝清顕そのものの明日海りおさんには大いに魅せていただきました。
あのどこまでも利己主義で、どこまでも繊細で、どこまでも純粋な“侯爵家の嫡男”はともすれば“ただのワガママ坊や”に見えてしまいますが(実際、かなりのワガママっぷりですが)、彼のその儚いまでの美しさには矛盾さえも許されてしまうような魅力があるのです。
明日海さんはこの点でも清顕を体現しているのでした。
彼女の男役としては不利ともいえる「可愛らしさ」はこの主人公を演じるためだったといえるほど、まさにこの役は彼女にうってつけなのです。←「あてがき」と称しているブロガーさんもいましたねぇ。同感です。
もちろん容姿ばかりでなく芝居も歌も遜色はありません。
彼女にとって「松枝清顕」は、当たり役(のひとつ)となることでしょう。
また、彼女以外のキャストもそれぞれが役の色を上手く表現しており、それが大きなハーモニーとなって舞台に華(花)を咲かせていました。←特に印象に残ったのは洞院宮治典王役の鳳月杏さん、松枝侯爵役の輝月ゆうまさん、月修寺門跡役の白雪さち花さん、パッタナディド王子役の千海華蘭さんらです。
バウ作品は小粒ながら良作が多いですね。
今年でいえば『近松・恋の道行』然り、この『春の雪』然り、はたまた暮れに上演される『おかしな二人』然り!
都合で1回しか観られないのが残念でなりません。