『ルドルフ ザ・ラスト・キス』
7月22日(日)
13時半~
1階B列31番
帝国劇場にて
初演(2008年)とはまったく異なる舞台。
演出家が変わるとこうも変わるものなのでしょうか!
胸キュン度合いは初演には叶わないけれど、今バージョンの“より等身大に近い恋愛模様”は妙になまめかしい印象を受けました。
宮廷(父)と理想の狭間で苦悩するオーストリア皇太子・ルドルフ-と言っちゃあ聞こえがいいけれど、その実彼の政治的手腕はどうだったのでしょうか?
父からはことごとく否定され摂政どころではない状況は、やはり皇帝の器ではないバカ、いえ凡夫と見るべきなのでしょうか?
まあ、それは本でも読むとして・・・
舞台を観る限り、時代の潮流であった「身分などない自由な国づくり」に傾倒していたようですが、彼にはそれをやり遂げるだけの情熱がなかったように思えます。
憧れはあるんですけどね。
そんなだから、自分の信念のまま行動しがらも理知的で母性的なマリーにのめり込んでいったのではないのでしょうか。
今回の演出で良かったところは、前回の舞台では掘り下げていなかったルドルフの妻・ステファニーの心情に迫っていたところですね。
心が通じ合わない空しい関係。
ルドルフに悪態をつきながらも、彼女もまた「誇り」と「情」の間で苦しんでいたのがひしひしと伝わってきて、同じ女性として大いに同情し共感しました。
タバコを呑み、酒をあおり、色事にも通じている普通の男としてルドルフは登場し、そして存在します。
特に娼館でのシーンはかなり人間くさく描かれています。←この場面は結構エロい、いやエロチックですよ。
これも作者の意図なのでしょうね。
彼の母のエリザベートもそうなのですが、彼らの「悲劇」は置かれている「立場」と「自分自身」の乖離が原因のように思います。
自由を求めてはいけない立場に立たされる自由人の末路は諦めか、破滅かのどちらかなのですから。
今舞台は衣装も舞台装置もシンプルで、その分役者の技量で魅せるとでもいいましょうか。
とにかく歌のレベルは高いです。
中でも特筆すべきはマリー役のたっちんこと和音美桜さんの澄んだソプラノでしょう!
宝塚在団中から彼女の歌声は評価されていましたが、より一層磨かれたように思います。
それから、ステファニー役の吉沢梨絵さんも、首相のサカケンこと坂元健児さんも、そしてもちろん主演の井上プリンス芳雄さんも相変わらずの美声でした。
それにしても、日本のミュージカル界って元・宝塚&元・四季の役者さんに席捲されていますね。
なんだか取りとめのない文章になってしまいましたが、「ロマンチックな恋物語」というよりも「闘いと愛」といった方がピッタリくる2012年度版の『ルドルフ』でした。