「毎週通うは浪曲火曜亭!」わかたけの日 | みつ梅の古今東西かべ新聞

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浪曲、歌舞伎を中心に観劇の感想を書かせて頂いております。
拙い文で恐縮ですが、よろしくお願い申しあげます。

「毎週通うは浪曲火曜亭!」
~わかたけの日~
◎2018年5月15日(火)・19:00開演。
●於、日本浪曲協会広間。

『越山の刀』
天中軒景友、曲師…沢村豊子
『団子一本物語』
東家恭太郎、曲師…沢村豊子
ー仲入りー
『忠治関宿』
国本はる乃、曲師…沢村豊子


浅草の日本浪曲協会で毎週火曜の夜に開かれている浪曲火曜亭では、三ヶ月に一度、「わかたけの日」と銘打たれた若手浪曲師の勉強会が持たれており、若手を応援しようとの浪曲ファンの声援で普段に増して客席に活気があります。

今回は人気、実力を兼ね備えた国本はる乃さん、東家浦太郎門下の東家恭太郎さん、天中軒雲月門下の天中軒景友さんが出演され、日頃の研鑽の成果を示されました。


トップバッターの天中軒景友さんは、長尾景虎の越山を題材にした自作の『越山の刀』を読まれました。
入門をされてからまだ一年の新人ながら早くも自作のネタを書かれ凄いです。景友さんの祖先のルーツにまつわる話ですので、力が入っておられるように感じました。
節回しに無理を感じる所があり、喉を痛めるのではと心配に思う時があります。才能のある方ですので、今後のご活躍に期待をしております。



続いて、恭太郎さんは『団子一本物語』を読まれました。
恭太郎さんは劇団の座長を始めいろいろな経歴を重ねて来られた異色の新人で、新人らしからぬ雰囲気があります。
浦太郎師匠の持つ味わいの片鱗を感じました。

景友さん、恭太郎さんのお二人は日本浪曲協会主催の浪曲教室で私と一緒に学んだ仲です。私は落ちこぼれの不良生徒でして、趣味の域に止まっておりますが、お二人はプロの世界に足を踏み入れられましたので、応援にも力が入ります。



休憩を挟み国本はる乃さんが登場。恩師である国本晴美師匠譲りの『忠治関宿』を読まれましたが、堂々とした風格を見せ、これぞトリの芸と納得の一席でした。
国定忠治がふとしたことで出会った姉弟を悪徳やくざから救い、それから二十年後、成人したこの姉弟に助けられるお話で、忠治の描き方を前半と後半で分けているのが良かったです。忠治と弟が長雨の続く夜に宿屋で再会する所が秀逸で、暗い雨に忠治の心が重なり、渡世に生きる者のたどり着く所を見た思いです。衣笠貞之助の映画『狂った一頁』のの冒頭の永遠に降り続くような雨が見えました。
この成果もしっかり腹に入っているからであり、感情や心を大切にしているからと感じました。期待の大型新人です。



三席とも三味線を名人沢村豊子師匠が勤められ、若手の持つ良さを引き出されていました。

この三席から、浪曲は節が一番の要であり、心が大切であると教えて頂いた思いです。浪曲は大衆の心のよりどころであり、激励を与える存在であります。浪曲を聴く度にまた頑張ろうと言う気になります。
三席を聴き終え、心に火が灯る思いで浅草を後にしました。