「127時間」
クライミング中に地面の裂け目に落ち、岩に右手を挟まれて身動きが取れなくなった男が救出されるまでの127時間を描いた映画。
アメリカ・ユタ州で起きた実話だそうだ。
身動きが取れず、助けも来ない。
そんな状況下で絶望していく人間の心理描写や、そこから導き出される「生」の本質ってあたりがテーマと思われるが、どうか。
まず、充分な感情移入ができてないうちに主人公が窮地に陥ってしまうため、その後の展開にどうしても当事者意識が持てなかった。
最後まで他人事目線だったため、救出された後に得られるはずのカタルシスも低減気味。
前半にもっと「あるある」が多ければ、主人公に日常の自分を重ねて観ることができたかも。
また、絵変わりが少ないため、観ていてちょっと飽きた。90分の作品にしては長く感じた。
「実話だからね」という点を踏まえても、もう少し「大喜利」を楽しませて欲しいところ。
大喜利とはつまり「岩に挟まれて動けなくなっちゃった。さぁどうする?」という問いかけに対する主人公の答え。
そういう意味では、「ソウ」とか「しんぼる」と似た設定。
「あぁそうきましたか」っていう味わいが、求心力を生むと思うのだが。
以上のことから映画「127時間」は、
‘‘事実だけに主人公は気の毒だが設定はおもしろい。しかし映画としてのエンタメ性が低くて感情移入できない映画’’
でした。