朝4時半に起き、すぐデスクに向かってノートを広げた。

3時間くらいしか寝ていないが、頭はとてもクリアだった。


先生と話した内容、教えられたこと、理解できなかった疑問、すすめられた本などなど、思いだせる限り次々と書き込んでいった。


緊張で、先生の質問にうまく答えられない場面があった。

不勉強で、先生の話を十分咀嚼できない場面があった。

聞きたかったのに、忘れて聞きそびれてしまったことがたくさんあった。

そして何より、自分の道が定まっていないことに途中で自ら気付き、ちょっとへこんでしまった。


一夜明けて思いだすのは、不思議と後悔ばかりだ。


だからせめてこうして、思い出せるかぎりのことを書き留めておこう。

次にお会いできるときには、同じ後悔をしないように。


そう思いながら書いたノートは、11ページにもなっていた。

少しずつ整理して、少しずつ吸収していこうと思う。



しかし今回、今までの自分の様々な行動が、ひとつの実を結んだことは間違いない。

たとえこれで先生との縁が切れてしまったとしても、一生の思い出になるような出来事を体験したのは、紛れもなくこのボク自身だ。

「恥をかいたとしても、たいていのことは後で笑い話になる」をモットーに生きてきて本当に良かったと思う。


別れ際、やさしいことに先生は「次回は奥様もご一緒に」、とまで言ってくださった。


次にお会いできるときには、もう少し自分の方向性を定め、具体的な相談やアドバイスをいただけるように、そしてそれをしっかり吸収できる自分になっていたい。


行雲流水


<了>