「政治とは、つまり予算である」
誰の言葉かは忘れてしまったが、シンプルに真意をついた表現だと思う。
確かに、政治とは予算であるといえる。
もう少し突き詰めた言い方をすれば、政治とは「予算の分配先に優先順位をつけること」なのかもしれない。
国会や予算委員会などで、予算を請求する側はいつもその根拠や正当性、必要性を声高に主張する。当然と言えば当然だ。
だが、そんなことくらい決定する側(与党)だった分かりきっているだろう。
そもそも必要性が認められているからこそ、予算が割かれているのだし。
主張はごもっとも、でも、今はそれよりもっと大事な箇所、優先順位の高い分配先があるのですよ、ということだ。
もちろん、順位をつける側には、客観性や先見性、日本国をデザインするセンスが求められる。
内閣は、そういう才に優れた集団であるべきだ。
しかし、請求する側もまた、全体のことを考えた広い視点を持つことは必要なのではないか。
ただただ自分たちの都合や権利ばかり主張するのでは、闇雲に小遣いの値上げを要求するスネかじりの道楽息子と何ら変わらなく思えてくる。
ひとつ高い段から見た俯瞰の目、全体を見渡す広い視野。出るところでは出るが、引くところでは引く、という慎み。
誰もが少しずつこういう美意識を持てれば、日本はまたひとつ、住みやすい国なるような気がする。
不正を指摘することは極めて重要だ。
だが、見苦しいあげ足の取り合いは、もうやめにして欲しい。