突然思いつき、家族でサンシャインの水族館に行った。
寛大は、ふぐ・カメ・うみへびなどに強く惹かれていた。もっとかっこいい魚やキレイな生き物もたくさんいるのに…。寛大の趣向は理解しがたい。
かめ
遼真は乳母車でうとうとしつつ、時々水槽を眺めたりしていた。1日いい子にしてくれていて助かった。

一方この日悪い子だったのは妻だ。
妻は昼に入ったカレー屋のカレーがあまりにも不味いといって憤慨した。

「一体この不味さはどーゆーつもりだ?高速のパーキングエリアやスキー場で食べるカレーより不味いではないか。しかも極端に具が少ない。それがさらにルーの不味さを引き立てている。そこへ来てこの値段の高さ。あたしゃ許せないよ。」
悪評の限りを述べる妻。後悔やガッカリを通り越して怒り心頭といったご様子だ。まぁ確かに不味いカレーだけど、それも想い出になるじゃないかと言おうとしたが、気圧されて黙っていた。
そしてついに「あたしゃ頭にきたからとなりのお店でケーキを買って帰るんだ!」と言い出した。
なぜカレーでの痛手をケーキで補うのか?理解できなかったが決意は固いようだ。異論を挟む余地はない。寛大も母のただならぬ妖気に「ケーキケーキ!」と呼応していた。普段はケンカばかりしているこの二人、甘味を前にすると瞬時に結託する。

結局カレー屋を出てから妻はまんまとケーキを購入し、機嫌を持ち直した。尻を振って歩いている。

まぁこれも想い出になるか…。