とある日曜日、都内の商店街で91才のバァちゃんと25才の娘がぶつかった。娘は彼氏と並んで歩いていて、軒を連ねる店々に気を取られていたようだ。
バァちゃんはひっくり返って大腿骨頚部骨折を受傷。手術を受けて退院はしたものの、外出には車イスを使わねばならない身体になってしまったそうな。不幸な話だ。

バァちゃんの家族はぶつかった25才の娘を相手に訴訟を起こし、その判決が昨日出た。
原告側の勝訴。東京地裁は25才娘の被告に対し、「健康成人には、歩行障害のある老人などの歩行を妨げないよう注意し、危険を回避する義務がある」としたうえで、金銭の支払いを命じた。
その額なんと780万円!!

どんな算定か知らないけど、とてつもない額だ。
仕事がら年間40例くらいの大腿骨頚部骨折の患者を診るが、「人にぶつかって転んで骨折」なんてのはごくありふれた受傷機転。しかも仮に自宅のバリアフリー改修をしたとしたって、治療との合計費用に780万円もかかったなんて話は聞いたことがない。

悪意があってバァちゃんを突き飛ばしたわけでもなく、ただただ彼とのデートを楽しんでいた25才娘。事故とはいえケガをさせてしまった責任はもちろんある。しかし、780万円の借金を背負わされるほどの大罪だろうか?
91才で歩行障害のあるバァちゃんを日曜日の商店街に一人でウロウロさせてた家族には何の責任もないのだろうか?
裁判所は91才女性の骨がいかにもろいものかをちゃんと考慮したのだろうか?

ぜひとも控訴し、最高裁まで争って欲しい。
だってこんな判例出したら、増えちゃうよ、歳よりのあたり屋が。ますます歳よりと若者の、健常者と障害者の距離を遠くしちゃいそうだよ。