友達のSATOKOは、色気はゼロだが人間的にはとても魅力のある人物だ。性別を問わず、彼女を慕う人は多い。
基本的に優しい心の持ち主だし、品があるし、気の使い方が上手い。そして、自分をバカに見せることができる貴重な女子だ。「バカな人」と「バカに見せることができる人」は違う。後者は頭のいい人にしかできない。

たぶん彼女は普段から人一倍周囲に気を使って生きている。どこにいても、誰といても。頑張っている。だから人一倍消耗して、疲れる。
おそらく家に帰って一人になってからの彼女は、頭も体もグッタリとして重たい粘土のような状態になってるはずだ。
この一人の時間、彼女は誰にも迷惑をかけず、気ままにワガママに散らかった部屋でグータラと過ごしたい。外での抑圧から解放されるつかの間の充電時間。外がONなら完全ににOFF。消しすぎだってくらいOFF。バランスを保つためのギャップだ。

しかしこの大きすぎるギャップこそが、長らく彼女から恋愛を遠ざけた理由に他ならない。惚れてくれる男はあくまでも「外」の一面、ある意味彼女の頑張りによって演出された部分を見たに過ぎない、と彼女は思っている。
30にもなれば好いた惚れただけの上っ面な恋愛などできない。進行すれば共有する時間も増え、生活の根幹をともにすることにもなるだろう。
「一人の時間のOFFの状態をとても見せられない。ガッカリされるのが恐い。って言うより、充電時間が削られそうでコワイ!」

これが彼女が恋愛に対しておよび腰になっていた真相である。しかしSATOKOよ、惚れた男はOFFのキミを見たって、きっと幻滅したりはしない。むしろ嬉しいとさえ思ったりもするはずだ。程度はあるけどみんなギャップを持って生きてるし、それもひっくるめてこそ愛し愛する関係が成立するってもんだ。

とりあえず、週1で部屋の掃除と整理整頓をすること。いつ誰が来ても5分待たせれば招き入れられる状態を保とう。
ってボクはSATOKOの部屋に行ったことはないのだけど、散らかってると決め打ちしてアドバイスしてみた。