3年生になっても、

相変わらずハチャメチャな学校生活を送るみつるは、

全校生徒から応援されるほど皆に知られていました。

いったい、

なんの応援なのか?

ある日の休憩時間、

さっさと荷物を鞄に詰めると、

教室を出て階段を下りようとしたところへ、

英語の先生(女性)が上がってきました。

この頃3年生の教室は3階にあり、次の授業は英語だったのです。

「あら、みつるくん今日は、早退?」

と、声かけられたので、

「はい」

と答えると、

「気をつけて帰ってね」

と励まされました。

1階に下りたみつるは靴を履いて校庭を歩いていると、

「おーい、頑張れ~!」

その声に振り替えると、

なんと、1階から3階まで皆がみつるに手をふっていました。

みつるも手を振ると、

恥ずかしさもあり早々と自転車で学校を後にしました。

それからしばらく経ったある月曜日、

4時限目の授業が終わると、

鞄に荷物を入れて早退する準備をしていました。

すると、

隣の席で見ていたTくんが、

「お前帰るのか」と言うので、

「ああ、帰るよ」と答えると、

「もうすぐ警察が来るぞ」

と言うのです。

みつるは何の事なのかまったく分からず、

「何言ってるんだよ。冗談言うなよ」

と言うと、そのまま教室を出ようとしました。

するとそこへ、

「みつる、先生が直ぐに用務員室へ来るように言ってるぞ」

と、走って呼びに来たものがいました。

みつるは驚くと共に、

何が起きているのか分からず用務員室へ入ると、

テーブルの側に、

担任の先生と駐在所の警察官のNさんがいました。

先生に促されテーブルの横に座ると、

Nさん:「先週の土曜日に何かしてないか?」

と、訪ねてきました。

みつる:「いや、べつに何も悪いことはしてません」

と答えると、

Nさん:「嘘を言うな。何かやったやろ」

と、何度も言われるが、

みつるにも何のことだかさっぱり分からず、

みつる:「なにもしてません」

と答えてもしつこく聞いてくるので、

何のことだろうと必死で考えてみると1つだけ思い出したことがありました。

みつる:「そういえば1つあります」

警察官:「何をした、言ってみろ」

みつる:「学校から帰ったあと、父親が以前に乗っていた、壊れたバイクがあるので、坂道へ持っていって下り坂を乗って遊びました」

Nさん:それをメモしながら「バイクに乗ったのか。他には」

みつる:「他には何もありません」

警察官:「まだあるだろうが。本当の事を言え。見た人がいるんだぞ。お前の名前もその人が言ってきた」

この言葉に反応したみつるは、

みつる:「すみません先生、皆の写真を持ってきてもらえますか」

と言うと先生は一旦その場を離れ、

職員室から同級生全員の写真を持ってきました。

みつる:「もし、見た人がいるのなら、その人にこの写真を見せてください。そうすれば分かるでしょう」

と、写真を警察官のNさんに渡すと、

Nさん:「そうか、とりあえずこの写真を預かっていく」

と言って、やっとその場から解放されました。

その日は何がなんだか分からず、

翌日隣の席のTくんから、

「昨日、どうやった」

と聞かれ、「何のことかさっぱりわからん」と答えていました。

そのあとみつるは、

今度は校長室に呼ばれました。

校長室に入るとそこには、

校長先生と同級生Gくんのお母さんがいました。

校長先生とお母さんの話によると、

土曜日にみつるが学校からの帰り道、

旧道の近道を帰っている頃、川を挟んだ向かい側のトンネルで、

Gくんがみつるの名前をつかって女性にイタズラしたということでした。

これで、みつるの容疑は晴れましたが、

その、一方でGに対する腹立たしさもありましたが、

みつるはGくんを恨むことなどしませんでした。

それは、

悪いことをすれば必ずいつかは、天罰が下るだろうとみつるは考えていたからです。

それ以来その時の警察官、Nさんは、

みつるの顔を見る度に笑顔で挨拶してくるようになり、

警察官を定年退職されたあとは日田市内の銀行に勤められていたのかな?

いくつになってもそのNさんに会うと、

必ず笑顔で頭を下げて挨拶してくる姿に親しみと嬉しさを感じるみつるでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 続く ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー