無事に入学式を終えたみつるは、

両親が新しく買ってくれた3段変速ギアつきの自転車で通学、

同じ集落の女子二人は・・・えーっ!?

こんな遠くを、

重たい鞄を持って歩いていく?

すごいなぁ~。

本当は一緒に行きたいみつるだが、

やはり女子と行くのは恥ずかしい。

二人に少し遅れて家を出ると、

自転車を走らせる。

それにしてもお二人さんは歩くのが速い、

他の校区の同級生や先輩たちに紛れて歩いていました。

やがて、

一番先に友達になった同級生ミツYの家の前に着くと、

「お~い、みつー、行こうかあ」

声かけているところへ別の友達、ジュンSがやって来ると、

3人で学校へ向かいました。

こうしてみつるは、

仲良しの友達が数人出来て、

勉強は勿論、登下校が楽しくなりました。

学校では、

よく一緒に遊んだのが、

ミツの他にも、ケイNとケイIとも遊びましたが、

厄介だったのが同じクラスのカズWでした。

何故かカズWは、

みつるばかりをいじめてきます。

みつるは、

体力も弱くカズには勝てませんが、

時には泣きながら向かっていくこともありました。

ついたあだ名が「泣き虫」でしたが、

その後、

音感もよく音楽が得意だったみつるのあだ名は、

カズによって「アダージョ(音楽用語でゆるやかに)」と、呼ばれるようになりました。

そんなある日の朝、

グラウンドで同級生数人とサッカー遊びをしていたのですが、

ボールを追いかけて勢いよく走っていたみつるは、

ドーンッと何かにぶつかると一瞬目の前が真っ暗になりました。

そこへ友達が数人駆けつけてきて、

「おい、大丈夫か?」

と聞かれ、

ふと気づくと目の前にいたのは同級生のTKで、

どうやら彼にぶつかったようでしたが彼は背が高かったので大丈夫だったようでしたが、

みつるは、ぶつかった瞬間にグチュッと鼻の方で音がしたので鼻に手を当てたが、

手には何もついていなかったので、

「あ、大丈夫、大丈夫」

と言ったのですが、

次の瞬間鼻から大量の血が飛び出し、

そのまま気絶しました。

賑やかな声にふと気づくと、どうやら保健室のベッドに寝ており、

目の前では3年生の女子たちが体育の授業のために着替えをしていました。

すると一人の先輩が、

「あら、だれか寝てるよ」

すると他の生徒が、

「どうしたのかしら、大丈夫かな?」

と言いながら着替えを済ませると出ていきました。

鼻を触ってみるとまだ痛みが残っており、

中途半端な時間だからとそのまま布団にもぐり、

再び眠るみつるでした。

しばらくするとまた、

ガラガラ、ドアが開いて先程の先輩たちが戻ってきました。

「あら~、まだ寝てるよ~」

「よっぽどひどいんだね」

などと、気遣う声や笑い声などで賑やかでしたが、

恥ずかしがりやのみつるは、

布団の中で眠ったふりをして皆が出ていくのをじっと待っていました。

見ていなかったので分かりませんが、

おそらく20名前後はいたのではないでしょうか。

着替えが終わると皆保健室から出ていき、

やっと静かになりました。 

そこでやっと起き上がると、

そのまま教室に戻りましたが、

既にその日の授業は終わりでした。

しかしみつるはその後、

先輩たちからも、皆から声かけられるようになりました。

ーーーーーーーーーー 続く ーーーーーーーーーー