「みつるの足跡」の初回は、

僕の記憶で最も古いもの、

つまり、誕生して初めての記憶についてのお話しです。


大分県の西の外れにある小さな集落に、

一家の長男として生まれましたが未熟児で誕生したとのことでした。

翌年に二男が誕生しましたが、

二男は生まれて直ぐに亡くなったそうです。

その後間もなく家族は、

父の実家を離れ更に山奥へ開拓者として移住しました。


ある日僕は、

天から地上へ降りてくると、

山々の綺麗な景色を眺めながら、

空中を漂っていました。

下を見下ろすとそこには、

両親や叔父さん叔母さんなど母方の親戚数名の人たちがいました。

草刈りの休憩のようです、

お茶を飲みながらなにやら話をしているのが見えます。

やがて休憩は終わったのか、

皆は其々に草苅釜を手に草を刈り始めました。

刈っていたのは枯れススキです。

最後までタバコを吸っていた叔父(母の兄)が、

タバコを足元に捨てると、

足でタバコを踏みつけて火を消していました。

その叔父が草刈りをはじめて間もなく、

消えたはずのタバコの火が枯れ草に燃え移り、

あっという間に火は燃え広がりました。

皆はそれに気づくと、

近くの杉林に燃え移らないように杉の枝を切ったり、

近くの小川からバケツに水を汲んでリレーするなどして、

なんとか大した火災にならずに火は消えました。

僕の最初の記憶は、

ここで消えております。

この記憶は今でもずっと残っていますが、

この火災が実際の出来事だったと知ったのは、

僕が中学生の頃の夏休みでした。

当時は既に(当時の)日田市に移り住んでいた叔父(母の兄)の家に行った時に、

そこにいた皆に僕が山火事を眺めていた話をしたときでした。

話を聞いていた母方の祖母が、

「何を言ってる。お前が覚えているはず無いだろ。あのときお前はまだ2歳だったし、ばあちゃんの所で寝ていたから」

と、話してくれたのですが、僕が見ていた光景は全て事実だったそうです。

この山火事が僕の人生初の記憶であり、

その後に次から次へと起こる不可思議な出来事の始まりでもありました。

ところで皆さんは、

記憶に残る人生最初の思い出はどのようなことでしょうか。