ターコイズ


ターコイズの歴史

アメリカで産出されるトルコ石は、ネイティブアメリカンの先住民にとって非常に重要な宝石と位置づけられ長い年月に渡り採掘されてきました。
南西部全体では200を超える先史時代の鉱山が発見されており、そのうちのいくつかは、紀元前300年という早い時期から採掘され多くの先住民の神話や伝説にもトルコ石が登場します。
ネイティブアメリカンの呪術師はトルコ石なしで職務を適切に遂行できないと断じており、実際に何らかの形でトルコ石が公式に使用されない儀式、祭り、宗教的儀式はほとんどありませんでした。
18世紀から19世紀にかけては、部族が独自のスタイルとジュエリー製作法を開発し始めると、南西ネイティブアメリカンのジュエリーに最もよく使われる石はトルコ石となりました。
トルコ石は紀元前から注目されていたため今後もネイティブ アメリカンの文化と伝統の象徴であり続け美しくユニークなジュエリーとして展示され保存されることは間違いありません。

アメリカ キングマン ターコイズ

キングマン ターコイズ鉱山は、アリゾナ州キングマン近郊にあります。
他の多くのターコイズ鉱山と同様に1800年代後半にジェームズ ハースによって再発見されたときに銅の採掘事業として始まりました。
キングマン ターコイズは1950年代から1970年代にかけて人気を博しその鮮やかなブルーはアメリカン・ターコイズの典型的な外観となりました。
キングマンにはさまざまな青緑色の色合いがありますが、高品質のキングマン ターコイズは、密で暗いクモの巣状のマトリックスとわずかな黄鉄鉱を含む深い青色で知られています。
キングマン鉱山は現在も営業しており美しいターコイズを大量に生産し続けています。

ターコイズの誕生と天然ターコイズの色変化

トルコ石は二次鉱物に分類され、砕けた火成岩に細かい粒の鉱脈や深く変質した岩石に不規則な空洞の中で形成されます。
通常は褐鉄鉱・カオリナイト・石英・玉髄または絹雲母の中にトルコ石が含まれます。

・トルコ石は既存の鉱物の風化と酸化の過程で岩盤の隙間から浸透し、通常は酸性の表層水が下降することによって堆積します。
・トルコ石の形成は乾燥した砂漠気候でのみ起こり、通常は地表近くで見つかります。
・トルコ石の色はオフホワイトからダークブルーまで幅広く他の鉱物含有量に応じて、青と緑の色合いが数百種類にものぼります。
・銅の含有量が多いほど「青」のトルコ石になり、亜鉛含有量が多いほど「緑」のトルコ石になります。

トルコ石をジュエリーとして使用すると、この宝石は着用者の皮膚から汗や皮脂を吸収し色が徐々に変化していきます。
また、天然トルコ石は多孔質の為、色の変色・退色、乾燥による割れ・ヒビ・クラック等が入る可能性もあるので日々のお手入れが重要です。

 

ターコイズ


ターコイズの含浸処理方法(スタビライズド・ターコイズ又は安定化ターコイズとも呼ばれます)

採掘されたほとんどのトルコ石は、さまざまな品質のものがあり硬度・色・採掘場所によって価格が決定されていきます。
高品質なトルコ石は結晶密度が高いので含浸処理(耐久性の向上)等は必要ありませんがこのようなトルコ石はほとんど見つからなくなりました。
現在採掘されるトルコ石は結晶密度が比較的低く天然の状態でカットすると欠け・割れ・崩れる可能性が高く実用性に欠ける原石が多く存在します。
また、上記のような原石を上手くカットしたとしても最終段階の磨きで光沢を出しにくい等のトラブルがある為に現在では含浸処理が必要不可欠です。
このような含侵処理をしたトルコ石の事を「スタビライズド ターコイズ」又は「安定化ターコイズ」と呼ばれていますが耐久性が向上し変色も無くなる事が最大のメリットです。
含侵処理方法に関してはトルコ石を透明材の樹脂に浸け、「超」真空状態にしてトルコ石から気体を完全に取り除き結晶内部をスカスカの状態にして、今度は一気に気圧を解放する事で樹脂をトルコ石に強制的に含浸させます。
その後は先ほどとは逆に気圧を上げていき樹脂を完全にトルコ石に封じ込める処理方法で1950年代にアメリカ・アリゾナ州で初めて発明され今でも続いています。

ターコイズの含侵処理で有色を使用する場合

含侵処理に使われる樹脂の前提は「無色透明」で「耐久性の向上」と「色の退色」を防ぐために行われる必要不可欠な処理方法だと当店では考えています。
しかし、この「無色透明」の樹脂を「有色樹脂」(※例えば濃いブルーの樹脂)に変える事で本来トルコ石が持っていた色を人工的に「濃くする」事が可能です。
深いブルーのトルコ石は高額で取引きされるので「耐久性の向上」と「色の退色」プラス「高く売る」事を目的に考えた処理方法だと考えます。
トルコ石の見栄えを良く見せる処理方法がプラスされているので当店的には「有色樹脂」の使用は「問題あり」だと考えています。
「有色含浸処理」に付きましては「一般消費者」「販売業者」共にそれを見分ける事は不可能で鑑別機関に頼るしか方法はありません。
しかも「トルコ石」に限っては鑑別料金が上乗せされる事が多いのでこれも困った問題の一つとなっています。

ターコイズの偽物と練りターコイズ

トルコ石は「ハウライト」「マグネサイト」を染めてターコイズっぽくした「ハウライトターコイズ」や「マグネサイトターコイズ」がありますがこれらは全てフェイクです。
ハウライト・マグネサイトの基本色は白色で石の表面に不規則な黒色や褐色の縞目がありトルコ石と同じ多孔質なのが特徴です。
多孔質は色を付けやすいのでスカイブルーを着色処理・染色処理・含浸処理をすればトルコ石の偽物に変身します。
あとは、トルコ石の破片・欠片・粉末を樹脂と一緒に固めた「練りターコイズ」が存在します。
※こちらも色を強化する為にブルー色の樹脂を使い更に深いブルーに仕立てた練り物もあります。
ハウライト・マグネサイトは完全なフェイクですが練りターコイズは本物のターコイズを使用しているので偽物ではありませんが人工的に固めて作製しているので天然石とは言えないと考えます。

 

ターコイズ鑑別書


少し前ですがお客様よりお問い合わせがありました。

>>>貴社のターコイズ(アリゾナ産)のルースが綺麗で購入を検討しています。
ただ、ターコイズは高くてこのお値段(5500円〜8400円)は安すぎると思います。
この石は当然樹脂含浸など加工されていると思いますが、本物のトルコ石でしょうか?
染色はされていますか?
ご回答よろしくお願いします。<<<

「本物のトルコ石でしょうか?」の文言でお店に質問しても余り意味がありません。
例えば、100件のお店で同じ質問をしても全店舗「本物です」と答えるからです。
もし、摸造石を本物の天然石と偽って販売しいるお店があったとしても「これは偽物です」と自ら認める事はありえないからです。
当店としては宝石鑑別書がないので本物をお安く販売していたつもりでしたがこのようなお問い合わせに悲しくなりました。
偽物を掴まされるかもしれないとご心配であれば、以下の文言でお問合せをしてみて下さい。
「購入するのに不安なので別料金が掛かってもいいので、このトルコ石に宝石鑑別書を付けてもらう事は可能ですか」
もし、本当に摸造石を販売しているのであれば、鑑別書の発行は出来ない(摸造石と結果がでるため)ので鑑別依頼を断りますし、単に鑑別書は扱っていないとか、時間の都合等で断るお店も多いかと思います。
しかし、根気よくお店を探していると当店のように「鑑別依頼を承ります」と言うお店も必ずあるので、そのようなお店で購入するのが不安解消になるのではないかと考えています。
もちろん、鑑別書作成にはお金が掛かるので商品購入時に「やっぱり、鑑別書は必要ありません」と断ればOKです。
※ただし、お店が鑑別機関に依頼する前に鑑別書をキャンセルして下さい。
依頼後ではキャンセル出来なくなるのでご注意下さい。
重要な事は「鑑別依頼を引き受けると言う事実」 = 「お店が本物と確信している」
この事が最重要なので、実際には鑑別書を作成しなくても本物を扱う業者だと分かります。
そんなお店探しが大切かなと思ったりしています。

今回のお問い合わせに関して以下をお客様に回答しました。

>>>当店で販売していたトルコ石は全て本物ですし染色もされていないとディーラーからの情報で販売していましたが客観的な根拠(鑑別機関での鑑別)がないので一旦全て引き上げて宝石鑑別書を付けて再販する事に致しました。
トルコ石に関しては宝石鑑別書を付けて販売している業者様は少ないと思います。
昨日掲載しましたトルコ石のロットは宝石鑑別書を取っています。
鑑別書が付属しない商品はご希望であれば有料でお付け出来ますのでご検討下さい。
今回トルコ石をお安く販売していたにも関わらず今まで売れなかった理由(商品の価格が安い→偽物・染色)が分かった事に感謝致します。
ありがとうございました。<<<

今回お安く販売していたトルコ石は利益率を下げて良い物をお安く販売していたのが裏目に出たようです。
「安物は偽物・染色」
とは一概には言えないと思うのですが残念でした。
現在はトルコ石に宝石鑑別書と付けた結果、販売価格は高くなりましたが偽物でもなければ「染色」もされていません。
これは宝石鑑別書を見れば一目瞭然です。
「染色」や「着色」に関しては簡単に見分ける事が可能です。
これらはトルコ石に色素を塗っているのと同じなのでアセトン(除光液の原液)に1週間程浸けていればブルー色が取れるのでどなたでも見抜く事が可能です。
しかし、変色・退色する恐れがあるのでお薦めはできません。
また、トルコ石の場合は無処理と謳っている物でもワックス加工が施されている可能性が高くアセトンに浸ける事でワックスも完全に取れるのでアセトンのご使用は自己責任でお願いします。

 


当店で販売していたアメリカ キングマン ターコイズを鑑別しました。

鑑別結果

鉱物名 天然トルコ石

宝石名 トルコ石

Remarks(備考) 透明剤の含浸処理が行われています。

※「透明剤により含浸処理」は「着色処理」・「染色処理」のように青い色をトルコ石に塗って見た目をより美しく見せる為の処理ではなく、多孔質で硬度が低い(柔らかい)トルコ石に対し「透明剤」を含浸する事で硬度を補強し耐久性を上げ退色(色落ちや色の劣化)を抑える為に行われる重要な処理方法です。

本物のトルコ石で含浸処理は無色の透明材使用でした。
信頼できそうな店で公的な宝石鑑別書を用意できるトルコ石ほど安心な買い物は無いのでご検討下されば幸いです。

鑑別書付き アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 カボション ルース 12.843ct

鑑別書付き アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 カボション ルース 11.390ct

鑑別書付き アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 カボション ルース 9.145ct

鑑別書付き アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 カボション ルース 17.445ct

アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 ペンダントトップ 2.8g

アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 ペンダントトップ 3.4g

アメリカ アリゾナ キングマン ターコイズ トルコ石 カボション ルース 1.8g

宝石鑑別書が付属しないトルコ石に関しては別料金でお付けできますのでお気軽にお問い合せ下さい。
ただし、納品に2週間程掛かりますのでご了承下さい。

 

ターコイズブルーランタン