天然石の合成

天然石の合成は水晶・シトリン・アメジスト・ルビー・サファイア・ダイヤモンド等に至るまで作られています。
例えば合成シトリン(水晶・アメジストとも同じ)は水熱法を使用して製造されます。
シトリン結晶の水熱成長は、※1「オートクレーブ」の中で、約350-450℃、1,000気圧の条件下で成長し合成シトリンを完成させます。
天然と同じ環境を作りだす事で人工的に結晶化させた物ですが、一般的には「偽物」と言うイメージがあるようです。
上記の鑑別書をご覧下さい。

分類名: 人工生産物

宝石名: 合成シトリン

人工的に作られた物である事から「分類名」と書かれていますが天然鉱物の場合は「鉱物名」です。
「人工生産物」には以下の3種類が存在します。
・合成石 自然界に存在する宝石を人工的に作成した石
・人造石 自然界に存在しない物を人口的に創り出した石
・模造石 ガラスやプラスチックで作られた天然石に似せた石の様な物

今回のシトリンは「合成石」です。
「合成シトリン」と書かれているという事は結晶構造を持った「シトリン」で間違いありません。
また、「宝石名」とも書いているので宝石として認められていると言う事です。
しかし、これが※2「練りシトリン」「溶錬シトリン」であれば、結晶構造を持たないので鉱物名・宝石名も無い「人工ガラス」となります。
本来ですとこれらが偽物と言う事になるのではと考えています。

 


合成石・天然石のビーズ作成方法

合成で作られた結晶・天然石の結晶、どちらもダイヤモンドカッターで正四面体に切っていきます。
木やプラスティックとは違い石なので簡単には切れません。
それもビーズのサイズが10mmなら10mmの正四面体に切断していき正四面体に仕上げます。

その後、正四面体を機械で磨いて球状にしていく作業です。
全行程で10回位の研磨が施されるようですが途中に貫通穴を開ける作業があります。
これら全てが終わって晴れてビーズの完成となるのでした。
石をビーズ等にする作業は天然も合成も全く同じ作業で手間暇が掛かります。

合成石のメリット
・インクルージョン・クラック・内傷がほとんど無く、澄み渡るように透明度抜群で美しい
・天然石と同じ結晶構造と同じ工程を踏んでの製品なのに価格が安い
(天然石は採掘する必要があるが合成石は大量生産が出来る為)

シトリンの鑑別書
シトリン単体の鑑別書が無かったのでクォーツと混ざっているシトリン・クォーツを掲載しました。
シトリンと水晶が共生するクォーツの事で、黄色の部分と透明な部分が混ざる水晶だとお考え下さい。

 


宝石名の下に「通常、加熱が行われています」と書かれていますが、これは加熱が行われているかどうかが鑑別では分からないので必ず書かれる文言となっています。
(宝石鑑別団体協議会 AGLの場合)
実際はアメジストを加熱すると黄色いシトリンに変化するようです。

海外の卸売り店
海外では天然石と合成石(水晶・シトリン・アメジスト)を明記しないで販売されるケースも多く、小売り業者も分からないで販売している事もあります。
当店ではロット物には出来るだけ鑑別依頼して販売しています。
その一例が以下となります。

 

 

 


上記の写真3点は連で仕入れた物を当店でネックレスにして鑑別依頼した物です。
連でも販売していますのでご参考に掲載させて頂きました。

鑑別済み インド産 水晶 本水晶 一連 チューブカット

鑑別済み インド産 水晶 本水晶 一連 ラウンド

鑑別済み ペリドット 1連 一連 チューブ カット

これらの価格は1連 440円-550円(税込)と大変お安いですが本物の天然水晶・天然ペリドットです。
その上、何の処理も一切行われていないのが自慢です。
現在では「結晶構造を持たない」練り水晶(人工ガラス)や溶錬水晶(人口ガラス)・「結晶構造を持つ」合成水晶等も数多く出回っています。
そのため、お客様に安心してご購入して頂けるようにお安い水晶等は敢えて鑑別依頼をしています。
また、当店では「合成石」は「合成」として販売しています。
合成シトリンは以下となります。

AAAA 合成シトリン ブレスレット 7.9mm-8.2mm

AAAA 合成シトリン ブレスレット 9.6mm-10mm

巷で流通している価格のお安い AAA水晶・AAAシトリン・AAAアメジスト等はかなりの割合で「合成石」が混じります。
当店では「合成石」がどのように作成されているのか等を記載し、お客様に分かって頂いた上で「合成」と表記して販売させて頂いています。
しかし、残念ながら「合成」と書くだけで敬遠されるお客様が多いようですが、宝石名がある合成シトリンは、れっきとした宝石です。
合成ダイヤモンド・合成サファイア・合成ルビーも同じで「合成石」か「天然石」かの違いだけとなります。
尚、天然石であれば全てOKかと言うとそうではなく、色の改善を目的にした着色処理・染色処理・耐久性の向上と透明度改善のための含侵処理・色を濃くする為の熱処理・照射処理等を行われている事もあり、天然石であっても全てが天然とは言い難いです。
価格がお安く、透明度が高い水晶・シトリン等を希望されるお客様も多く当店でも一部合成石等も販売させて頂いています。
天然石と合成石の違いをお分り頂くために今回ブログを書かせて頂きました。

※1「オートクレーブ」
内部を飽和蒸気によって高温高圧にできる機器のことです。
人工水晶を育成するにはオートクレーブが適しており、地殻内部で天然水晶が成長する過程に似た環境を人工的に再現します。
オートクレーブにラスカ(天然水晶を溶解して利用する)と種水晶(水晶を結晶化させる土台の水晶)を入れ、上部の温度を下部の温度より低くすると高温高圧下で溶解した原料のラスカが自然対流によって上部に移動、種水晶の上に溶けた水晶が付着し、種水晶を土台にして再結晶化されていきます。
※2「練りシトリン」「溶錬シトリン」
天然水晶で売り物になりにくい石英やビーズを作成するうえで出たガラ等をガラスの原料と一緒に混ぜて溶かし固めた物です。
これらは結晶構造を持たないので人工ガラスとなります。