稀少価値が高いと言われるパラサイト隕石は今までどれ位の量が回収されたのでしょうか。
パラサイトと認められた主な隕石は以下となります。

1810年 ベラルーシ共和国

ブラヒン 「ブラヒン・パラサイト隕石」 回収量 1000kg


1822年 チリ
アタカマ砂漠イミラック 「イミラック・パラサイト隕石」 回収量 920kg


1882年 アメリカ 

カンザス州 「ブレナム・パラサイト隕石」 回収量 4300kg


1967年 ロシア 

マガダン州 「セイムチャン・パラサイト隕石」 回収量 323kg


1951年 アルゼンチン 

チュブト州 「エスケル・パラサイト隕石」 回収量 755kg


1984年 ブラジル 

バイア州クイジング 「クイジング・パラサイト隕石」 回収量 59kg


1999年 ニジェール 

ジンダー郊外 「ジンダー・パラサイト隕石」 回収量 46g


2000年 新疆ウイグル自治区 

昌吉回族自治州阜康市 「フカン・パラサイト隕石」 回収量 950kg


2016年 ケニア 

セリコ 「セリコ・パラサイト隕石」 回収量 4000kg


全て合計して約12,307kgで約12.3トンです。
さて、多いのか少ないのか?

 


続いて登場してもらうのは資産価値が高い金です。
これまで人類が採掘してきた金の総量は約18万トンと言われています。
これは「豪華客船」クイーン・エリザベス号2隻分に匹敵する重量です。

全長:294m
最大幅: 32.25m
乗客定員2,081人
重量が90,900トン

金と比べてパラサイト隕石がどれほど少ないかが一目瞭然です。
パラサイトは地球上に落下した全ての隕石の中で僅か2%弱しか存在しない希少な石鉄隕石です。

 

 

 

 

パラサイトペンダントトップの美しさは光を透過する事です。
薄くスライスされたパラサイトの鉄・ニッケルの部分は光を通さずペリドットの部分は光を通します。
それはまるで色鮮やかなステンドグラスに太陽光が射し込むとガラスの模様と色が浮かび上がる幻想的な光景のようです。
薄くスライスすれば確かに美しいのですが元のパラサイト石鉄隕石は一体どのような物なのでしょうか。
切断されていないありのままの隕石とは。
と言いましても未切断のパラサイト石鉄隕石があったとしても切断していないので「本当にそれがパラサイトなのかわかりません」
やっぱり切ってみないことには全貌がわからないのです。
でも未研磨の原石も一度見てみたい。
ひとつ良い方法があります。
1つの原石を半分に切断すればスライス面と原石部分が残ります。

 

 


半分に切断したパラサイト石鉄隕石が上記の写真です。
石ころのようにも見えますが、尖っている所を見ると少し銀色に輝いています。
多分ですが外側表面をサンドペーパー等で磨けば鉄とペリドット部分が共に出てくるのではないかと思います。
スライスしてわかった内部構造(鉄とペリドットが入り交じる)が外側表面にもあると考えていますが、超高価なため磨く勇気はありません。

 


上の写真は両面をスライスし外側だけが原石になっているパラサイトです。
パラサイトのほとんどが上記のようにカットされ販売されています。
薄くスライスすることで数を増やし販売することが出来るからだと思われます。
そう考えると原石が付いたパラサイトは大変希少価値が高いと言う事がわかって頂けるかと思います。

 


こんな半割りパラサイトを鑑別してみました。

物質名 天然隕石(メテオライト)

宝石名 石鉄隕石


摘要欄には「ペリドットを含む石鉄隕石」「パラサイト」と言う文字が書かれています。
鉄・ニッケルなので磁性があります。
また、切断面には透明材の被膜処理がされています。

「なるほど、本物のパラサイトだ」と思う瞬間です。
原石の見た目からは想像できないスライスされた面の美しさ。
半割だからこそ可能なのですがもう一方の原石をスライスすれば新しい面が表れます。
もっと薄くスライスする事ができればペリドットが透けてステンドグラスのような幻想的な光を目の当たりにする事も可能でしょうが、鉄ニッケルからペリドットが欠落する事や耐久性の問題等があるので極薄スライスの加工は非常に困難です。

 

しかし、スライス部分をレジン等で両面コーティングする事で極限スライスが可能となります。
以下のパラサイト隕石をご覧ください。
極限まで薄くカットした物(2mm-3mm)のため、両面をフルコーティングする事で錆から隕石を守ると共にペリドットの欠落を防ぎ、観賞用として飾る事が可能な実用的なパラサイト隕石となっています。
こちらの隕石には「鑑定所見書」が付属し、本物のパラサイト隕石である事が証明されています。