「雷神創世」聴きました、後半戦です。
6.神鳴忍法帖
兄上の全曲解説にもありましたが、この曲は
「卍」と言う既発曲との関連性で繋がっていますが
そう言った前後関係をさておいても
1曲の「忍法帖シリーズ」として楽しめる、
そんな曲になっていると思います。
どちらかと言うと非常に聴きやすいタイプではありますが
「この手」の曲を陰陽座が演奏する、と言うところに
このバンドの底知れぬ深さを感じることが出来ます。
個人的にはアニメのエンディング曲にしたいくらいの
キャッチーさですが
それでも「ヘビーメタル」という領域から一歩もはみ出していない
それが陰陽座なのです。
歌詞の中に含まれる
兄上からのの謎解きはもう少し考えますwww
7.天狗笑い
この曲、最高に好きですねwww
招鬼王子作曲の今回の「天狗ソング」は歌詞がとにかくユニーク。
ここで取り上げられているのは
天狗の中でも最も地位の低い「狗賓(ぐひん)」と言う天狗ですが
歌詞の内容が
何だか我々サラリーマンの悲哀を感じさせるところが
笑えるような笑えないようなwww
なのに、妙に共感してしまうと。
ハネるようなリズムが「ひょうすべ」と言う曲を連想させて
やたら心地よい。
しかし、歌詞の中で
『狗』と言う字の漢字の読み方(書き方?)を説明するくだりは
本当に、ほんまにそんな歌詞なんかいな、と思わず歌詞カード読み直しましたwww
ソロのワウワウが何となくCREAMを彷彿とさせるのは
僕だけでしょうかねww
8.青天の三日月
実はこの曲、初めて聴いたのが家族で八幡浜「どさん子ラーメン」に行った時
陰陽座ファンの式神アメブロガーくみちゃんのご厚意で
CDを聴きながらどさん子ラーメンでいただく、という
至福の時間を過ごさせてもらったのです。
イントロの笛の音色を思わせる音が「甲賀忍法帖」を思い出させます。
とにかく、カッコいい曲としか言いようがない。
一連の戦国シリーズ、いわゆる「仮装関ヶ原の合戦」をテーマにした曲の
最終章なのですが
「蒼き独眼」を聴いた時「お!」となり
「紺碧の双刃」で「お!!!」となり
今回は「お!!!!!」となる。
出すたびにカッコよくいい曲になる、これ、凄い事です。
イントロからサビに至るまでとにかく鳥肌モノのクオリティ。
以前の曲もパチンコのタイアップとなって
ここからファンになった方もいらっしゃいますし
「甲賀忍法帖」がアニメ主題歌となった時にはアニメ好きのファンも増えたりした。
間口が広がって、そこからファンが増えると言うのは
よくもあり悪くもあると思うのですが
イヤミではなく
「1曲の魅力」に吸い寄せらえた外様さんが
(この表現もすみません、戦国シリーズにかけてみただけです)
この後、いい意味で「ふるい」にかけられて
残った人が式神として陰陽座を聴いていく
それでいいのではないかと思うのです。
ところでこの曲のc/wになっている「ゆきゆきて青し」ですが
まだライブで演奏されてないですね。
「雷神」で初披露になるのかな?
それとも「紅き群闇」のようにライブで演奏されずに
式神の間で「隠れた名曲」になるのでしょうか?
9.累
怪談「累ヶ淵」を題材としたこの曲、イントロが流れた瞬間
SLAYERの「SOUTH OF HEAVEN」を思わせ
もしやこれは故ジェフ・ハンネマン氏への哀悼歌かと。
思えば「SOUTH OF HEAVEN」の歌詞にも通じる部分があるように感じます。
(お借りしました、ありがとうございます)
この曲についてあれこれ語るよりは一度聴いていただく方が
ものすごい説得力があると思うのです。
そもそも「累」の物語が日本三大怪談と呼ばれる
「四谷怪談」「牡丹灯籠」「番町皿屋敷」と比べ
あまりポピュラーではないのですが
(実際、僕も数年前にこの話を読みました)
あまり馴染みのない方のためにおおまかなあらすじを。
顔が醜いというだけで疎まれて命を奪われた女性(累)と、
まったく同じ理由で過去に殺害された、累の義理の姉妹である少女(助)が、
後に、累を殺めた与右衛門と言う男と、
その後妻との間にできた少女(菊)に憑依して出てくるが、
偉いお坊さんの念仏と説教により成仏するというお話です。
この物語に関して僕は全く兄上と同じ所見で
「容姿だけの理由で人を殺め、それを恨んで出てきたものを何故に念仏で成仏させねばならぬのか」
この一点に尽きます。
これぞ正に2曲目のある「天獄の厳霊」
「天獄」で贖いを受けねばならない事ではないのか
ここで2曲目とリンクして物語が一つにつながる、そんな気がするのです。
読んだ資料によれば、累は見た目のみならず肢体も歪んで
身体的な部分でも問題を抱えていたとの説もあります。
すなわち、差別的な要素も含まれ
更には「飢餓」や「間引き」と言った当時の日本の農村制度における
「裏」の歴史、更には血縁のしがらみと言った
「社会の暗部」に触れる部分がふんだんに盛り込まれていたため
この「累」が今いち、怪談として日の目を浴びなかったではないのかと
僕は思うのです。
いつの時代も「くさいモノには蓋」と言う考えははびこり
いい部分だけを見せて「これが日本の現状です」と言う
現代のアベノミクスなんて所詮、そんなもんでしょww
(あ、こんな事言うていいんやろか?)
そしてこの物語は今も深刻な問題となっている
「幼児虐待」にも通じる部分を感じます。
「天獄の厳霊」の感想でも書きましたが
「泣き止まない」「言う事を聞かない」という理由で
幼い子供たちが命を落としています。
その多くが「内縁の夫」「同居してる○○」と言った
血縁のない輩どもが起こす過ち。
今の時代も「累」の呪いは解けていないのでしょうかね。
この曲は現在、過去を問わず
繰り返される愚かな行為への警鐘のように思えるのです。
う~ん、重たくなってしまった。
この13分ある大作をライブで聴ける、
これだけでも「雷神」に参戦する意義があるのでは?
僕はそう思っています。
「八百比丘尼」の演奏時間に秘められていた「謎」の如く
この曲にも何か謎が込められているのでは?と思わず深読みしてしまうくらい
陰陽座の楽曲の中でも思い入れが大きくなりつつある曲ですね。
「道成寺蛇乃獄」以来、聴き応えのある大作、
物語に込められた背景を思うと、聴くにはかなりの心の準備が必要です。
10.蜩
正に「累」のエンディング曲とでも言うべき
物悲しい珠玉のバラード。
そしてこのタイプに曲に関しては
絶対にレコ発ライブでしか聴けない、であろう楽曲。
阿部さんが弾くピアノの哀愁を帯びた音色に、猫さんのボーカルが乗る
兄上も全曲紹介で書かれてましたが
この曲は、第一声が全てを物語っています。
ほんまに
例えるならハンバーグとカレーを同時に食べてるような
幸福感(自分だけやろ、その例え通じるん)
この「蜩」しかり
「星の宿り」「夢虫」「鎮魂の歌」
陰陽座はハードでメロディアスなだけでなく
かくも美しいバラードがある。
大げさでなく「日本の宝」です。
11.而して動くこと雷霆の如し
古文大好き日本史大好き、みつ光男ですが
昔から漢文は苦手だったのでww
「孫子」の軍争篇がタイトルに盛り込まれていても
今いちピンと来ないのですがw
いわゆる武田信玄の「風林火山」の延長戦的なニュアンスと思えばいいのかな?
激しいイントロに叙情的な歌い出し、そして疾走するサビと
いいとこ取りやんけ(いい意味でね)って感じで
ヘビーメタルの全てがこの1曲に凝縮されてるんではないかと
思えるほどの素晴らしい曲。
これをライブではどのポジションで演奏されるのか
そちらにも興味津々ですね。
ギターソロも素晴らしい、聴けばどちらのソロなのか
すぐわかるところが陰陽座の魅力でもありますよね~。
フラッシーな狩姦、ブルージーな招鬼
音楽的なタイプは違うんのですがタイプ的には
RATTのウォーレン・デ・マルティーニとロビン・クロスビーのように
対照的なイメージがあるなと思うのは僕だけでしょうかw
12.雷舞
陰陽座得意の「ご当地方言ソング」久々でうれしい。
(前作は「鬼子母神」でしたからなかったので)
愛媛の方言が入ってる曲を全国の陰陽座ライブ会場で
全国の方が歌う、
これって愛媛県民からするとこれ以上ない喜びですね。
もう、完全にライブ向きの曲ですね~
「喰らいあう」に変わってアンコール定番曲になりそうな気が。
陰陽座のライブをよく「雷舞」と言いますが
正に陰陽座のライブは「雷」に打たれるくらい、
「雷」の如くお腹に響く、そんな激しいライブですよね。
でもただ激しいだけじゃなく、MCは楽しくコミカルな曲もある。
正直、陰陽座のライブに行くと、他のバンドのライブ
なかなか行かなくなります(笑)
本編のラストあたりで聴けるかな~とみんな思ってるはず。
でも、できればアンコールのラストに聴きたいと思うのは僕だけでしょうかww
もう、ほんまに(いい意味で)こんな曲があるから
今回のライブは今まで以上に楽しみ。
「早くライブで聴きたい」
そんな1曲があるバンド、それは最大の強みですよね。
そんなわけで、二日間ブチ抜きでガッツリ書かせていただきました
陰陽座、アルバム感想ですが
長くなりすぎたのでこの辺でw
これ読んで「お、そこまで書くのなら聴いてやろうじゃねえか!」
と、言う方がいらっしゃるとうれしいのですが
何分、ワタクシの拙文ゆえ
文章だけでは伝わりにくい部分もありますので
興味のある方はこちらを↓
陰陽座 Official You Tube
この中でも紹介してる「青天の三日月」のMVもあります。
そして、2月11日なんばHatchライブには僕も参戦しますよ。
大阪ぁ~~~~~~~~、待っててや~

