「お。歩ー。ご苦労さん。これ、今日の分の手紙。」

『いつも、ありがとう。門田。』

約束しているわけじゃないけど、門田の渡船に乗るのが
わたしのマイルールになっている。
乗り過ごしても10分もすれば戻ってくる。
ここ尾道は、東京と違って時間がゆっくり流れる。
10分くらいなら大丈夫なのだ。


「できることなら、私もラジオ手伝いたいんだけどなー。」

『気持ちだけで十分よ。』
『それに。リスナーがいて。手紙が来ないと。ラジオは成り立たないし。』

「それもそっか。じゃあ、あたしは一番のリスナーでいようかなっと。」

『そうそう。いつも聞いてくれてありがとう。本当に助かってるわ。』

海を渡るこの5分がお気に入り。
何もかも純粋で、
まっすぐ輝いていたあの日に戻れるから。

髪を撫でる風も。
太陽を弾いて光る波も。
変わらず古くて頼りなさそうな船も。
みんな、あの頃のまま。

「歩!岸に着くよ。掴まって!」

あわわわ。
ちょっと、ぼーっとしすぎたちゃった。


こうして門田と話をしてるとあっという間に渡り終わる。


「前から言おうと思ってたんだけど、、。」

『なぁに。改まって?』

「船に乗って海を見てる歩って、なんか高校生のときの歩に見えよるのよ。」

『…なにそれ(笑)』
『私はもうそんなに若くないですよーだ。』

なんて茶化してみたけど。
心の中を見られたみたいで焦る。
落ち着いて。落ち着いて。ふぅー。



「歩!今日のラジオ楽しみにしてるからなー!」

『はーい!』

船着き場から離れていく渡船から叫ぶ門田に大きく手を振って応えながら、スタジオに向かう。

今日は、この手紙を採用してあげよう。
どんなこと書いたのかしら。



~~あとがきのようなもの~~

 

瀬戸内少女ラジオ局が大好きすぎて妄想が溢れました。はい。

こんな風に書くのが久しぶりすぎて書き方が迷子になっておる(・ω・)

二次創作なので公表していいのかどうかって問題もあったりなかったり?

最初は、あゆさや?なお話。


尾道高校は向島にありまして、本州側からは渡船を使わないといけないんですね。

渡船の乗船時間は5分くらいなので、その短さを意識した文章にしました。
歩と一緒にあの日に戻る5分間を体験して欲しいなぁと思ったので。

多分、歩はまだ傷に苦しんでいて、何もできなかったことを後悔してるんだと思うのですよ。
だから、傷つく前に戻ることが彼女の癒やしになると考えたので、この場面を選んでみました。
真面目な歩には幸せになってほしいです。 

 

 

いくつか溢れてる妄想があるのでじわじわ公開できればなーと思っています。

今の所、しのゆきなお、香織ちゃん、未来の香織ちゃん、とかとか妄想してます。

ひろまほとか書けたら面白いかも。