🌙恋は月夜に香る
月を見ると
思い出す恋がある。
もう二度と戻らないのに
匂いみたいに
記憶だけがふっと蘇る。
そんな
記憶を綴っています。
毎夜21時台に更新中!
※ほぼノンフィクションですが
少し手を加えています
※noteで先読みできます
蒼井美月(あおいみつき)
▪️過去3000本以上のコラムを執筆
▪️職業:作家
▪️ライター業では書けない、血の通った文章を書きたくてこのシリーズを書き始めました。
【猫の匂いがした彼】
登場人物
亜希:18歳
ケイ:22歳
残酷な話
私は
またケイにメッセージを打った。
「母が・・
今日の泥棒のこととか
みんなで話したいって言ってて・・
そのまま家に帰ってこいって
言われたんだけど・・
怖くて・・
一緒に行ってくれない?」
急いで送信すると
私は仕事に戻った。
仕事が終わって
真っ先に携帯を開くと
ケイから
返信が入っていた。
「うちに一回来いよ。
そしたらオレの車で
おまえん家に行こう」
・・・・。
不安で仕方がないのに。
怖くて
どうしようもないのに。
そのメッセージを見た私は
少しだけ
嬉しかった。

残酷な話だと思う。
泥棒に入られて
母も怖い思いをして
誰かに狙われているかもしれなくて
何ひとつ
喜べる状況じゃない。
それなのに。
そんな状況だからこそ
私が「怖い」と言えば
すぐ電話をくれて。
「一緒に来て」と言えば
当たり前みたいに
一緒に来てくれる。
そんなケイに
私はようやく
「私、今、愛されてるのかもしれない」
と思うことができた。
今なら
少し分かる。
私は
何気ない毎日に
まったく愛を感じることができなかった
一緒にご飯を食べても。
毎日会っていても。
隣で眠っていても。
それだけでは
「愛されている」と
信じきれなかった。
皮肉にも
強烈な出来事が起きたことで
「ほら、私は大事にされてる」
って
確認することができてるなんて・・。
あの日のケイが
私を守ろうとしてくれていたんだってことも
今なら
ちゃんと分かる。
あの頃の私は
愛されていたことにも気がつけなかったし
そもそも
愛されるなんて思っていなかったから
確信できる瞬間を
ずっと探していたのかもしれない。
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