おはようございます、能町光香です。
最近、よく聞かれる質問の一つに、
『エグゼクティブ・アシスタントとは、何ですか?』
があります。
日本においては「秘書」という言葉が私たちに向けられる仕事のイメージなのでしょうが、
日本語の「秘書」に該当する英語には、
グループセクレタリー、セクレタリー、アシスタント、マネジメントアシスタント等、
様々な名称が登場します。
ですが、「エグゼクティブ・アシスタント」というのは、
秘書の中でも〈TOP5%〉の知識・経験・スキルをもった人材です。
だからこそ、トップマネジメント層のエグゼクティブから
「ビジネスパートナー」として期待され、補佐をする役目となっていくのです。
しかし私は、日本においてこの「エグゼクティブ・アシスタント」の仕事を
正しく理解している方がそう多くないという現状を目の当たりにしてきました。
私は以前、マレーシアのクアラルンプールで開催された
「アジア・パシフィック秘書会議」に参加しました。
この会議で、「日本の秘書」と「海外の秘書」の仕事に対する考え方の違いに驚かされます。
日本における秘書の仕事は、“事務サポート”という位置づけでしか認識されていません。
しかし、本来のエグゼクティブ・アシスタントは、
マネジメント層を支える重要なポジションであると共に、
組織に多大な影響を及ぼす存在なのです。
日本では、そのことを知らずに自分で仕事の幅を狭めてしまっている
エグゼクティブ・アシスタントの方が少なくありません。
私はこの状況を変えるために、
また日本でのエグゼクティブ・アシスタントという仕事の認知度向上、意識改革のために、
高い意識を持ったエグゼクティブ・アシスタントを育成し、
より多くの人にこの仕事の醍醐味を知っていただきたいと考えています。
ここで、エグゼクティブ・アシスタントとして働くための資質をご紹介したいと思います。
トップマネジネントの最も重要な資産である「時間」を最大限に確保して、
上司が仕事に専念できるよう補佐しなければなりません。
また、コンフィデンシャルな情報を扱い、広範囲にわたる業務をオーガナイズし、
時には上司の代役として優先順位をつけ、
効率的に状況のマネジネントをおこなっていくためには、
上司の確固たる「信頼」を得ることも大切です。
トップマネジメント(Top Management) をサポートする
エグゼクティブ・アシスタントは、
たとえ自分がローワーマネジメント(Lower Management)であっても、
ビジネス・職務への理解やコミュニケーション能力が求められます。
この点に、組織におけるエグゼクティブ・アシスタントの特殊性が
見受けられるといってもいいでしょう。
エグゼクティブアシスタントの仕事の生産性は、
直接上司の生産性にかかわってくるため、
エグゼクティブ・アシスタントの能力が企業全体の生産性に影響を及ぼすことになります。
つまり、企業/組織内のキーパーソンとして
企業内や取引先から認知されるようになってくるのが、本来の意味での、
この職域の全体からみたときのポジションなのです。
エグゼクティブ・アシスタントは、
組織の中で「役員」と「従業員」というふたつの間をコミュニケーションによって
繋いでいるだけではありません。
外国人を上司とするエグゼクティブ・アシスタントは、
二カ国の文化の接点に立っており、堪能な語学力をもとに、
二重の意味で重要な役割を果たします。
よって、上司の国の文化、価値観、思考パターン、行動様式など、
目に見えない文化的な部分まで理解した上で、
コミュニケーションを図ることが期待されています。
これにより、お互いの信頼関係に基づき、
共に業務効率や価値創出を達成することが可能となるのです。
そして、日本的経営の仕組みや価値観を上司に理解してもらえるよう努めることも、
バイリンガル・エグゼクティブ・アシスタントの重要な役割です。
語学力を活かした通訳のみならず、意見を交換し、
柔軟な国際感覚を身につけるよう心がけていくことで、
上司のビジネスがさらにスムーズに展開していくようサポートします。
このように、エグゼクティブ・アシスタントの仕事は、
ただ単に事務的に業務をこなすだけではありません。
秘書業務を行いながら、
トップマネジメントが仕事に集中できるようその効率化を図るとともに、
部門・組織全体の活性化につながるようファシリテートしていく
重要な役割を担っているのです。
また、上司がリーダーとなるプロジェクトへの参加、
VIP対応、企業の大きなイベントの補佐、
ステークホルダーとの間のコミュニケーターとしての働き、
経営会議・戦略会議への参加など、その他にもさまざまな仕事があります。
これまでに私は、10人の外国人エグゼクティブと共に働き、
外国人のマネジメント層がエグゼクティブ・アシスタントに求めているものは何であるのか、
経験を積み重ねながら学んできました。
この経験を活かし、外国人マネジメント層と日本人エグゼクティブ・アシスタントとの
考え方・ビジネスマインドのギャップを埋め、
上司とのより良い関係を構築していくお手伝いをするのが私の役目だと考えています。
国際化が進むこれからの時代、
グローバルな視点でビジネスを考え、
上司をサポートできるバイリンガル・エグゼクティブ・アシスタントは必要不可欠です。
また、語学力を生かし、
異文化コミュニケーションのプロフェッショナルとして活躍できるこの仕事は、
女性が自立して働き続けるのに最適な職業だといえるでしょう。
語学力に自信のある方もない方も、〈エグゼクティブ・アシスタントの道〉に、
ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
◎ 参考ブログ記事(各タイトルをクリックください!)
▶ 政治家や企業CEOを補佐する「エグゼクティブ・アシスタント」とは、どんな仕事?
▶ エグゼクティブ・アシスタントになるためには?
▶ GE会長ジャック・ウェルチのエグゼクティブ・アシスタントがもっていた業務ポリシー
▶ エグゼクティブ・アシスタントの仕事は、まずは『上司の仕事をラクにすること』から。
▶ パートナーシップに欠かせない、「信頼(Trust)」という言葉
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