昨日、アメリカ大統領選はバイデン氏が勝つ可能性が高いと言いましたが、実はトランプ氏再選のシナリオが完全に無くなったわけではありません。状況が圧倒的不利なことに違いはありませんが 実はトランプ氏にもまだ逆転のチャンスが僅かながら残されています。今回は、そのシナリオについてご紹介します(長文かつちょっと難解ですが、是非お付き合い頂ければ幸いです)。
まず前提のルールとして、現在、トランプ陣営が、投票当日以降に到着する郵便投票の有効性は認められないとの理由により提訴している州の中で、12月8日までに選挙人が決まらない州は最終集計の対象から外れるというものがあります。それを考慮すると、これら激戦州のうちのいくつかの州で「選挙人なし」となる可能性があるわけです。
これらは、各州においてトランプ陣営による2回の上級審への上告により、もつれにもつれた結果、最終的には連邦最高裁の判断に委ねられることになります。地裁、高裁で棄却されてもめげずに上告すれば、最終的には全ての案件で連邦最高裁まで行くことになるわけです。
さて、ここできちんと公明正大な選挙が行われていると連邦最高裁に判断されれば、トランプ陣営の訴えは棄却されてしまい、ここに至りトランプ氏再選のシナリオは完全に潰えてしまいます。
ところが、ウィスコンシンで深夜に突如バイデン氏に謎の13万票が上乗せされたり、郵便投票での署名の不一致が発覚したり、バイデン氏の名にすでにチェックが入った偽造票の束が合衆国郵便公社の集配システムの中に紛れ込んでいたり、なぜか死者が投票していたり、投票に行ったらその人を装った別人が既に投票していたり、あるいは、監視員を追い出しての密室での開票が行われるといった違法行為(州法違反)が公然と行われたりと、充分、係争で使えそうな不正選挙の疑惑が次から次へと出てきてしまっています。
トランプ陣営は最強のロイヤーチームを結成して連邦最高裁に臨むことでしょうし、何と言っても、2000年に行われた子ブッシュ氏とアル・ゴア氏の大統領選においてゴア氏の訴えが退けられた時と決定的に違うのは、トランプ氏が現時点でもなおFBIを自由に動かして国の隅々まで徹底的に捜査を行うことができる権限を持っている点です。これは本当に強いと思います。
そして、地裁、高裁で棄却されたとしても2回上告した先の連邦最高裁においては、判断が逆転する可能性があります。というのも、連邦最高裁判事は、過日トランプ大統領が肝入りで任命したバレット判事を含め9人中6人が保守派判事であることから、連邦最高裁ではトランプ大統領に有利な司法判断(つまり当該地域の選挙無効や、時間切れによる審理未決など)が下される可能性が少なからずあるのです。というか、今考えるとこういう事態を見越して、予め自らの側近である保守派のバレット判事を任命したとしか思えません。
そしてこの連邦最高裁により、もし幾つかの激戦州で不正選挙が認められるかあるいは不正が濃厚であると判断され、結果として「選挙人なし」となり、両候補共に過半数である選挙人270票の獲得には届かなくなるという事態になった場合、今度は大統領選挙と同日に行われた連邦議会議員選挙で決まった改選勢力の上下両院議員のうち下院議員による決戦投票で大統領を決めることになります。
そして、ここからが最も重要なポイントなのですが、下院については民主党が改選後も多数派を維持しており、私は当初この時点でゲームオーバー、どう足掻いてもトランプ氏は詰んでいると思っていたんですが、よく調べてみるとそうではなく、実は、下院の場合、純粋な議員数ではなく「各州1票ずつを持った状態での全50票での選挙」となる為、たとえ下院議会で共和党が少数派であったとしても、なんと現時点でその共和党が過半数の26票(26州)を確保できてしまうのだそうです。
また、上院では副大統領を決める選挙を行いますが、こちらは共和党が1票多くなることが確定的で、当然ペンス氏が再任されます。
つまり上下両院の連邦議会議員による決戦投票にまで持ち込むことさえできれば、上下両院とも共和党がぎりぎりで過半数を取って、トランプ大統領とペンス副大統領が共に再選とされるということになるのです。
このシナリオこそトランプ陣営の最後の頼みの綱であり、この可能性がまだ残されているからこそ、トランプ陣営は最後まで戦おうとしているわけです。どこまでこのシナリオに沿うことができるか、トランプ陣営の本当の戦いはここからです。
トランプ陣営にとっては確かに荊の道はありますが、ただ、今回不正の疑惑がこれだけ次から次へと出てきている中で、トランプ陣営の言い分を全て棄却して、「はい、バイデン氏当選、以上」で済むわけがないとも思います。さて、どうなるでしょうか。
それにしても、本当に今回ほど面白いと思ったアメリカ大統領選挙は無いですし、色々調べてみて大変勉強にもなりました。