新型コロナウイルス問題においては、北朝鮮ですら中国からの入国禁止の措置を取りました。北朝鮮と中国は軍事的に同盟国であるにもかかわらず、です。また、台湾国も武漢からのツアー客の入国禁止の措置を打ち出しています。それに対し、我が国の政府は入国禁止措置等の対応策は何も打ち出せていません。検疫に対する安全保障意識は北朝鮮以下と言って良いでしょう。
なぜこんな無様なことになっているのか。これは簡単な話で、「新型コロナによる想定死者とそれによる経済的損失」と「春節特需による経済効果」とを天秤にかけて、後者を優先させた(あるいは然るべき組織から優先するよう迫られた?)ことによります。
確かに経済合理性だけで見れば、これは正しいのですが(人命の値段は、せいぜい1人1億〜3億円程度なので)、額面だけで計って良い問題ではありません。いくら経済的損失が多くとも人命損失のリスクを限りなくゼロにするよう対策を取るのは、主権国家の常識です。
我が国にはこの思想が無いから(失われたから)、こういう事態に直面しても、対応が遅れてしまうわけです。新型コロナだけでなく、拉致問題が解決しないのも、領土問題が進展しないのも、この「事無かれ経済合理性」の思想が由来しているのではないでしょうか。まさに、戦後民主主義の宿痾です。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO54688220S0A120C2MM0000?s=4