月曜の朝。通勤する人々に混じって実家に向かう。
不自然な切符の買い方に駅員に首を傾げられたが、何とか新幹線で浜松到着。
午前10時すぎ、残金30円。(ATMが開くのを待っていた方が早かったのかもしれない。)
実家に帰り、父親に会う。
「こんなに痩せちゃったよ。」
と苦笑いする父親に、気の利いたフォローは出来なかった。
5月の定期健康診断でひっかかった時には、既に肺癌の末期だったらしい。
無情な現実を受け入れられなかった。
月曜午後は必修科目の化学実験とアルバイトがあったので、トライアスロンに初めて出場したことと、コースを間違えたみたいだと伝え、
「来週、また来るから。」
と言って実家滞在30分程度でとんぼ返り。
母に駅まで送ってもらう車の中で、堪えていた涙が溢れてきた。
母も涙ながらに何を言い出すかと思ったら
「学費は、なんとかするから大丈夫だからね・・・。」
とお金の話。後は二人とも黙っていた。
わずか3ヶ月前、大喜びで掴みとった有名私立大学&関東での一人暮しが申し訳なかった。
続く → #5 誕生日