【竜二】 第113回 | 【武士の一文(分)】

【竜二】 第113回

任侠映画という物は、

何かこう現実味が感じられず敬遠している。


しかし

そんな中でも長渕剛主演の

ドラマ【とんぼ】

映画【オルゴール】

などは、人間臭さが感じられて好きだった。


まあそんな訳で

久し振りにオルゴール観たいなと思ってネット検索していたら

そこの類似として

【竜二】

という作品が引っ掛かった。


長渕剛の上記作品は

この【竜二】の影響を多分に受けているというコメントを発見。


興味を持ち購入して早速観たので、総評させて頂く。





【竜二】 

制作:1983年 主演:金子正次


この映画は

竜二という1人のチンピラの生き様や葛藤が、生々しく泥臭く描かれている作品である。



この竜二の生き方は

憧れを持てるほど、素晴らしいものではない。

決して格好の良いものでもない。


しかし

だからこそ、そこが良い。




進む道が例え間違いだとしても後悔はしない。

己の道は己が決める。

それが我が道。


という

実直であり不器用な男の人生の悲哀に、心を打たれた。




生きるという事は常に真剣であり、真っ直ぐでなければならない。


そういった作り手のメッセージがストレートに伝わってくるので、

自分を見失いそうな人には勇気を与える内容と言える。





そしてこの作品を語る上では、主人公の竜二を演じた

【金子正次(かねこまさつぐ)】

を外せない。




金子正次。

この作品に触れていない人は、この役者を知らないであろう。

それもそのはず、

代表作はこの1本だけであり、この1本によって伝説となった男である。



無名役者の金子正次が

自ら脚本を書き下ろし完全な自主制作で完成させた【竜二】だが、

今までにない仁侠映画だと高評価を受けて

自主制作としては異例の全国上映の大ヒットを飛ばし、ブルーリボン賞や新人賞を授与。


長渕剛のチンピラ作品などを観ても分かるように、この金子正次の影響を受けている人は多い。



そんな人の代表作が、何故一作だけなのか。

それは、

映画公開期間中の1983年11月6日

上映約1週間後に

胃癌性腹膜炎によって33歳の若さで他界してしまったからである。



撮影は痛みに耐えながら慣行し、試写会には這っていったほどだという。



そして

友人で最後に看取った松田優作も

同じようにガンに侵されながら撮影に挑み(ブラック・レイン)

奇しくも6年後の同日11月6日に亡くなっているという話は、有名である。



金子正次の

命を賭した迫力ある演技。

是非観てほしい