サイドカー | 春永昼猫のブログ、小説

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サイドカー

花も咲き誇る春、ここは場末のBAR M&N。

今日は珍しく音ちゃんが「いつでも夢を」を弾いていた。

「何で歌謡曲にゃん?いつものクラシックはどうしたにゃん?」と不思議そうにねねが問うと、

「たまには、好きな曲を弾いてもらってもいいじゃないの、明るい気持ちになるし。」とみつ。

そこへ、チリンチリン♪来客の様だ。

みると、ショートカットでスラリと背の高く美形でスタイルのいい女性と、ふわりとしたロングヘアーで清楚系の美女が腕を組んで現れた。

「!?」一瞬目を疑うねねと音ちゃん。

しかし、みつだけが、何故かほぅ~っと見とれていた。

「いらっしゃいませ、何に致しましょうか?」
内心ドキドキしながらみつが注文を取ると、

「サイドカーで」ショートカットの美女が言った。

席に座るなり手を重ね、見つめ合う二人。

「何にゃん?何にゃん?あの二人、恋人にゃんか?でも、絵になるにゃんね!」と驚くねね。

「人間の世界にはね、LGBTQ(L…レズビアン、女同士のカップル)(G…ゲイ、男性同士のカップル)(B…バイ…同性とも異性ともカップルになれる方)(T…トランスジェンダー、体は男性、心は女性もしくは、体は女性、心は男性)(Q…クエスチョン、自分が男性が好きなのか女性が好きなのか分からない方)といって、同じ性の人たちが愛し合うこともあるのよ。ここは、静かに見守りましょう。」とみつ。

「今日も綺麗だよ、ユラ」ショートカットの美女がふふっと微笑みながら言えば、

「あなたも素敵よミコト」いとおしそうに見つめ直し、褒め合う二人。

音ちゃんは、そんな二人のためにビバルディの『春』を弾いた。
みつは、そんな二人の為に心を込めて、「いつも二人で」という意味のあるサイドカーを作った。

材料…ブランデー30㎖
   ホワイトキュラソー…15㎖
   レモンジュース…15㎖

作り方…材料をシェイカーでシェイクして、カクテルグラスに注ぐ。

サイドカー26度中口の出来上がり。

ベースとリキュール、ジュースの甘さと酸味のバランスが絶妙。

「ごくっ、美味しいね。」

キラキラ輝く二人の微笑みが眩しい。

これからも二人には様々な困難が待ち受けているかもしれませんが、この二人なら、いつも二人なら大丈夫かもしれませんね。