番外編⑪レモン酎ハイ
澄み切った秋晴れの今日、BAR M&Nのいつものメンバー四人は、紅葉狩りと称して温泉旅行一泊二日に来ていた。
「キッチンカー祭りでは、二位に終わったにゃけど、たまには息抜きも必要にゃんよ。」のねねの一言で行われた慰安旅行。
テンマの運転で猫盛山の中腹の藤田荘まで向かう途中…。
「わぁ~!!山一杯に紅葉が生い茂ってる~!!綺麗~!!」とみつ
「も~み~じ~なぜ鳴くの~?紅葉の勝手でしょぉ~」と、何故か「もみじ」を歌おうとして、「からす」と混ぜこぜのおかしな歌を歌う音ちゃんにねねが、
「ミラクルな歌のカクテルにゃんね!?」とツッコんだ。
車が止まるとそこには、古民家風な民宿が建っていた。
「お~!?こりゃぁ~出るぞ!!」と音ちゃんがワクワクと楽しそうに言えばテンマは、
「出るって何が?」と不思議そうに聞くと、これまた音ちゃんが、
「愚問だろう??」音ちゃんが、フフンと鼻を鳴らして言うと、
「お化けにゃんね!?ワクワクするにゃん!!」目をらんらんとねねが輝かせて言っていたら、
「……。」珍しく無言のみつに対して、
「あ~っ!!みっちゃん!オバケが怖いんでしょ!!僕が守ってあげるから、今夜は僕の布団に来てもいいよ!」
セクハラ発言のテンマに怒った音ちゃんは、
「テメーはそこらのタヌキと一緒に寝てろ!!」スパーン!!
勢い良くテンマの後頭部を平手打ちする音ちゃんだった。
一方、『オバケなんていないもん×∞』と、心の中で唱えまくっていたみつは冷静さを見せつつ、「ここの目玉は、露天風呂みたいね。」と言うとねねは、
「アタシは、遠慮しとくにゃん、さらさら流れる川に流れる紅葉を眺めながら、窓際で毛づくろいをして毛並みを整えているにゃん。」と風流なことを語った。
テンマは内心、『ししし…ここは混浴あるかな?』と不気味な笑みを浮かべていた。
音ちゃんは、そんなテンマを見て、『コイツ、また何か企んでいるな?』と不信に思っていた。
一旦みんなは部屋に荷物を置いて、入浴することになり、みつと音ちゃんは女風呂、テンマは混浴風呂に行った。
テンマが浴場に行くと、そこには4~5人は人影がいた。
『お~!?早くも収穫の秋か!?』とルンルンと弾みながらテンマが人影に近付くと、それらは、何とサルのファミリーだった。
がっかりして勢い良く、ステーン!!その場にすっころぶテンマだった。
一方、女風呂では…。
「音ちゃんって、肌がすべすべで綺麗…。」と音ちゃんを褒めるみつ
「あんただって色白じゃんかよ」みつを褒める音ちゃんがいた。
そんな温泉女子トークが展開されている頃、その物陰で…。
「うっしっし…音ちゃんはやっぱりグラマーだな…みっちゃんも小ぶりだけどなかなか…。」
そんなテンマの不穏な気配にいち早く気付いた音ちゃんが、
「こんのヤロ~!!これでもくらえ~!!」
ガッと手元にあった風呂桶をつかみ、テンマの頭目掛けて投げつけた!!
「パカーン!!」それはテンマの頭に命中し、テンマはその場に倒れた。
「ほんっとにコイツはバカなんだから…。」呆れ顔の音ちゃんだった。
温泉から上がり、ホカホカな三名を待っていたのは、豪華で美味しそうなごちそう!!
メニューは…はらこ飯、戻りガツオの刺身、松茸の土瓶蒸し、芋の子汁、
さつまいもとエビとカボチャの天ぷら、さんま焼き、
デザートには、なしのコンポートだった。
「おお~んまほ~!!」音ちゃんが感嘆の声をあげる。
みつは、ねねに「ねねには悪いんだけど、これで我慢してね。」と高級レトルトパウチと高級ちゅるちゅるをあげた。
それを見たねねは、「十分にゃよ!ありがとう!みつ!」とコロンと横になりお腹を見せて喜んだ。
「ねえねえ、ここに何かお酒の準備があるよ!」とテンマが嬉しそうに言うと、
「テンちゃんはダメだからね!そこのオレンジジュースと烏龍茶でも飲んでちょうだい!!」ピシッとみつ。
「へいへい…何で今日、俺はこうもツイてないの~?」と、不服そうなテンマ。
「さてさて、これはレモン酎ハイの準備じゃないの。」とワクワクしながらみつが作る準備をし始めた。
材料…焼酎…45㎖
ソーダ…適量
カットレモン…1個
作り方…氷を入れたグラスに焼酎を注ぎ、冷えたソーダで満たしてレモンを絞り入れ、
軽くステアする。
レモン酎ハイ10度辛口の出来上がり。
「ぷっは~!!爽やかでんまいねぇ~!!もう一杯!!」と音ちゃん。
ねねは、BARから持ってきたマタタビ酒を飲んでご満悦な表情。
テンマだけが、一人ウジウジと「どうしてぇ~?」と嘆いていた。