番外編⑩市販のたくあん漬け | 春永昼猫のブログ、小説

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番外編⑩市販のたくあん漬け

陽だまりぽかぽか暖かい初夏、BAR MITSUのいつものメンバーは、それぞれ食べ物や飲み物を持ち寄り、ツツジ狩りに向かった。

徳泉山では、八号目程まで車で行けて、駐車場には、観光客やらハイカーたちの車がズラリと並んでいた。

テンマは、「天気も良いし、空気もうまいし、これで美女がいたらお腹いっぱいなんだけどな~。」と、お得意のテンマ節。

それを聞いた音ちゃんが、テンマの腕をつねり
「ここに美人(猫)が3人いますけどぉ~!何か問題でも!?」と問うと、即座にテンマは、「問題ありましぇ~ん!!」と目を白黒させながら言いました。

それを見てみつとねねは、「あの二人は相変わらずだね。」と言いあいました。

ふうふう、ふうふうと登った先には、なんと見事なツツジの木。普段みつ達が見慣れている小さな株とは違って、ツツジの大木を目の当たりにしたみつ達は、何とも言えない感動を受けていました。

ツツジの大木の前では、幼稚園児逹の集団が写真撮影に来ていました。
カメラマンが、「は~い、笑って笑って~はいチーズ!!」パシャッ!
「もう一枚ね~!」と写真のポーズをとる合図をしていましたが…。

そんな微笑ましい風景に潜む黒い影!!
暖かくなって巣穴から出てきた蛇がニョロニョロと園児の方に向かって這って行きました!!

「危にゃ~い!!猫パ~ンチ!!猫カミカミ!!」

ねねは、すんでのところで蛇に攻撃をし、蛇は目を回しながら逃げていきました。

「ふ~やれやれ、これにゃから山は危険にゃ。」ねねがそう言うと、みつは、

「お手柄だね!!ねね、BARに帰ったらちゅるちゅるね!」とねねをほめたたえました。

そうするとねねは、「ちゅるちゅる!!やったにゃん!!」と喜びその場でぴょこぴょこ跳ねたのだった。

そして、お楽しみのランチタイム…皆が持ち寄ったのは、

みつとねねは、水出しのにゃん登園の麦茶とニャニチキ
音ちゃんは、中に何の具が入っているのか分からない程大きな爆弾おにぎり
テンマは、市販のたくあん漬けを切ってタッパーに入れてある。

「なんだよ!テンマは市販かよ!」と音ちゃんが言うと、

「みっちゃんだって市販じゃんか」とテンマ。

「みつは、店をやりながらだから、お前みたいにヒマじゃないの!!」と音ちゃん。

「まーまー、せっかく音ちゃんが愛をこめて爆弾おにぎりを作ってくれたんだし、食べちゃおうよ!あ、ねねには、ニャンプチね。」と、みつがふたりをなだめてくれてお昼タイムは始まった。

「お~っ!?音ちゃんの爆弾おにぎりは、シャケとうめぼしとコンブが入ってる!?」とテンマが歓喜の声をもらし、

「やっぱ、ニャニチキはやみつきになるよな!」と満面の笑みで音ちゃん

「ニャンプチ最高~」と嬉しそうにねね。

みんなホクホクとした笑顔になりました。

一方で、麦茶を飲みながら市販のたくあん漬けを食べていたみつが、こんなことを思い出していました。

…みつが小さな頃、お腹を下して小児科の先生からチョコレートとか、ケーキとか、お腹に刺激のあるものは食べないで下さいと診断されたとき、みつの母さんから小児科からの帰り道、「みつ、何が食べたい?」と聞かれて、とっさに「市販のたくあん漬けが食べたい」って言ったっけ…。
当時、実家で漬けた、たくあん漬けはしょっぱくて酸っぱくて、初めて市販のたくあん漬けを食べたとき、甘くて美味しかったのを思い出したんだよね…。

しっとりと思い出に浸るみつ。そして、

「テンちゃんありがとう。」とテンマにみつが言うと、

「??どういたしまして?」頭の中に疑問符の浮かぶテンマだった。

でも、ツツジ狩りに来て良かった、市販のたくあん漬けの思い出を思い出して美味しく食べられて良かったと思うみつだった。