番外編③みつとねね出会い編 | 春永昼猫のブログ、小説

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番外編③みつとねね出会い編

若草香るころ、みつとねねは大きな実家の縁側で日向ぼっこをしながらウトウトしていた。

二人とも夢を見ているようで…。

ここは、とある町の公園。
そのゾウさんの滑り台の下で、生まれて間もない白黒ハチワレの仔猫がピューピュー泣いていた。
その子を小さな男の子が、家族にするんだ!!と家に連れてきた。
男の子のママは、
「あらあら、その子はまだ目も開いてないし、耳もタレていてるわね!ミルクをあげないといけないわね。あと、しーしーうんこのお世話もね!!」
と言い、仔猫を迎える準備をした。

それから、男の子とママは一生懸命仔猫のお世話をした。
ママは、二時間おきに仔猫のミルクのお世話としーしーうんこのお世話。
男の子は、仔猫と一緒に猫じゃらしで遊んだり、一緒にねんねしたり。

そして、二か月後…。

みつはペットショップで猫を探していた。
みつは、地元を遠く離れて一人暮らしをしていたので、一緒に暮らしてくれるにゃんこを探しに来たのだ。

みつは、猫を飼ったことはないけど、昔仲の良かった野良猫がいた。みつは、その野良猫をチャトランと呼び、可愛がっていたし、チャトランもみつの後を追いかけてきたり、自分の仔猫を見せてくれたりしていた。
ある冬の寒い日、猫風邪をひいて目も鼻も目ヤニや鼻水でぐじゅぐじゅだったチャトランは、みつ達家族が牛小屋の隣の機械小屋で機械の手入れをしていた時、何故かチャトランは、しきりに作業の邪魔をしていた。
みつは、空になった牛小屋の前にチャトランを抱いて移動させ、わらでチャトランをかこって温めようとしたが、それでもチャトランは、機械小屋の方へ来た…。
そして次の日、チャトランは機械小屋で虹の橋を渡っていた…。

あれから数年、みつは猫が可愛くて仕方なくなっていた。
でも、ペットショップの猫たちは皆10万円以上はする。
見たことのない金額に目ん玉が飛び出る思いのみつだった。

ふと、隣を見ると、看板に、私のママはお星様になってしまいました。その代わりに私のお世話をして下さる方を探しています。と書いてあった。

写真には、黒猫の可愛い仔猫。早速飼い主さんにTELをしてみると、黒猫の女の子は人気があって、あとは白黒の女の子と灰白の男の子がいますよとのこと。

みつは、少し考えて女の子の方が育てやすいと知っていたので、白黒の女の子でお願いしますと言った。

それから、みつは猫グッズを揃えると、仔猫を迎えに行った。
アイススケートリンクとペットショップのある場所で、仔猫の飼い主さんと待ち合わせをしていると、若いママさんがバスケットに仔猫を連れてきた。
ママさんは、一週間くらいのお試しでどうですか?と言ったが、

みつが自分が持ってきたバスケットに仔猫を入れると…、
「とても可愛くて、一生懸命大事に育てます!!」
とママさんに言い、別れを告げた。

男の子は、いつまでもいつまでもみつと仔猫を振り返ってみていた…。

ママさんと別れると、仔猫はしばらくの間、淋しいのか、ピューピューと鳴いていた。
みつの部屋に到着し、ママさんから離乳はしていますと伝えられていたが、仔猫は、仔猫用の缶のエサはあまり食べず、それに仔猫用のミルクをかけると食べてくれていた。
仔猫は、元気な子で、狭い部屋をめいいっぱい駆け巡っていた。

仔猫のための、沢山名前の候補はあったけど、ペットショップのお兄さんから、猫ちゃんが自分を呼んでいるのを分かって振り向いてくれる名前がいいですよとのことで、みつは、仔猫がネコだからねねと名付けた。

ねねはおてんばっ子。壁で爪とぎ、タンスを登ってカーテンの上によじ登り、エアコンの上でぬくぬく暖を取る。
実家から帰ろうとすれば、バスケットの蓋を頭で押し退け、脱走した…。
トラさんとの恋、出産、育児…。

極めつけは東日本大震災で別行動だったみつとねね。
みつは隣県で、ねねは実家で被災!!
みつは、ねねと逃げられなくて気が気でなかった!

しかし…ねねは生きていてくれた!!

みつはこの上なく喜んだ!!
あんな大きな地震と津波で実家は大規模半壊の全壊指定。
しかし、家族からの話でねねは、震災から7日目で見つかったという。

ねねはどこでどう過ごしていたのか…考えただけでもみつは眩暈を感じた。

あれから10年以上も経ち…。

ねねは20才、人間でいう100歳。人間の言葉も理解し、ペラペラ喋るようになった。
みつは、ある日突然ねねが喋りだし、目をまん丸くしたが、次第に慣れ、一緒に世間話や恋バナなど、おしゃべりをする仲になった。
ねねは年のせいか、膀胱炎で血尿が出ることもしばしばだが、病院に通い、薬を処方してもらい、嫌がるねねを抱きかかえ、付属の注射器で口から薬を飲んでもらい、血尿も止まった。
いつかはねねはお空に帰ってしまうかもしれないけど、その時まで大切にしたい、みつはそう思っている。

今は地元を離れて、BAR M&Nを作り、様々な人々と出会い、色々なカクテルを作っている。

長いまどろみより目が覚めたみつとねね。

みつは軽装に身を包み、ねねは赤い蝶ネクタイを結び…。

みつは、カウンターに立ち、ねねはカウンターの上に座り、

今日も頑張ろー!!
きょうもやるにゃんよ!!

チリンチリン♪