ノンアルコールカクテル ピーチメルバ | 春永昼猫のブログ、小説

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ノンアルコールカクテル ピーチメルバ

さんさんとした日がそそぐ春、ピアニスト音ちゃんがシューベルトの子守唄をピアノで弾いていると…。

ZZZ…ZZZ…ねねは絶賛爆睡中。

みつも何となくボーっとカウンター席のクルクル回る椅子に腰かけていると…。

チリンチリン♪

「…はっ!!いらっしゃいませー」お客さんの来店に少々焦りながら

「ねね!ねねったら!!お客様だよ!!」とねねをゆさぶり、叩き起こそうとするみつに

「むにゅむにゅ…いらっしゃいにゃせー!ちゅるちゅるをねね様に下さるのは、どこのどにゃたかしにゃー?むにゅむにゅ…」よだれを垂らしながら寝ぼけるねね

「ねねったら寝ぼけて…!しっかりしてよもぉ…」呆れ顔のみつだった。

「何にゃ!?あ。チョコミルクを飲んでくれたミヅキさんにゃね!
今日は、旦那さんと…あっ!赤にゃんも一緒にゃんね!可愛いにゃん!」ニコニコと笑顔のみつとねね

「ありがとうございます!難産で、2300gと未熟児でしたが、元気です!」と嬉しそうなミズキ

旦那のソウマは、「春に生まれたので、優しい子に育ってくれるようにユウサクと名前を付けました」と誇らしげに言った。

「ウブウブ…」元気でご機嫌そうなユウサク。

「でも…元気がよすぎるのか何なのか、泣き止まない時があって…」と困惑するミヅキ。

そのそばから「ギャーン!!」といきなり泣き始めるユウサク。

「ミルクじゃないのかい?」とソウマ。

「みつさん…すみませんが、ミルクを作りたいので、お湯をくださいませんか?」ミヅキの申し出に

「それでは、休憩室にご案内しますね、ポットに熱いお湯が入っているので、どうぞ、火傷にご注意くださいね」

「ありがとうございます」
ミヅキが哺乳瓶でミルクを作って人肌程度に冷ましてユウサクに飲ませると、
チュッチュッチュッ…元気にミルクを飲むユウサク

しかし…げっぷをさせてしばらくすると…「ギャーン!!」と再び泣き出すユウサク

「あらあら…オムツかしら?ん…汚れてないわね…?」とオムツを確かめるミヅキ

「ギャーン!!ギャーン!!」激しく啼泣するユウサク

オロオロ…「どうしたらいいのかしら!?」慌てふためくミヅキ。

る~る~る~♪

耳をそばだてると、どこからか誰かが歌っている。

♪ねんねんね~ねの子守唄
 あなたは優しいユウサク君
 あなたが好きなの何ですか?
 教えてちょうだいこのねねに
 楽しい楽しい夢見よう♪

ねねがおもむろにそう歌うと、「キャッキャッ♪」と喜ぶユウサク

「ねね様ありがとうございます!!」とソウマ

「みつからは音楽のセンスはないと言われるけど…子守唄は得意にゃんよ!!」得意顔のねね

そこで絶対音感持ちのピアニスト音ちゃんがピアノ伴奏付きでねねの子守唄を披露。
みんなも一緒になって歌うと…。

スヤスヤと安らかな寝顔で寝はじめるユウサク。

そこでみつがひそひそと言う。

「それでは、ピーチメルバというノンアルコールカクテルをお作りしますので、皆さん、ユウサク君が起きないように、静かに一緒に飲みましょう!」

材料…ピーチネクター…60㎖
   レモンジュース…15㎖
   ライムジュース…15㎖
   グレナデンシロップ…10㎖

作り方…材料をシェイカーに入れてシェークして、氷を入れたオールドファッションド・グラスにそそぐ

ピーチがほんのり香りづく大人の味わいのノンアルコールカクテル、ピーチメルバの出来上がり。

(静かに)「皆さんどうぞ!」
ゴクッ!(静かに)「美味しーい!!」