岸田内閣の発足以来、日本の株式は低迷を続けている。
菅首相が退任を表明した直後から、日本の株式相場は目の覚めるような急騰を演じた。これは、コロナ対策に有効な施策に手間取っていた菅内閣に代わって、実行力を期待できる河野内閣の出現を予想したからである。
しかし、国民の期待に反し、岸田氏が内閣首班に指名された。通常は、内閣が変わればご祝義を含めて株式相場は上昇するが、岸田内閣の登場とともに株式は急落した。明らかに日本の株式市場、そして日本経済は岸田内閣の誕生に拒否反応を示したと考えてよい。
岸田総理の掲げる「新しい日本型資本主義」や「国民にやさしい政策運営」は曖昧で分かりかねるが、それ以上に新総理が公約に掲げた「格差是正」を、国民はうすうす肌に合わないものとして敏感に感じ取っているのである。
「格差是正」は、文字どおり「個々の国民の所得に差がないようにする」という施策である。こうした施策を、国民は本当に望んでいるであろうか。相続などで親から譲られた財産を基にした所得の格差(農耕地や土地・マンションの相続に起因する所得格差)は是正の対象にすることも考えられるが、自分一代で築いた地位や財産に基づく所得の格差は、これをなくしてしまえば経済的にも倫理的にも大変な問題を引き起こすことになろう。
国民の一人一人は、小さい時から勉強に励み、良い学校に入り、良い会社等に就職し、出世競争に挑んで、まわりの人たちより所得を増やそうと努力する。言い換えれば、いずれも所得格差の拡大を求めての努力である。こうした所得格差を求めてのインセンティブが否定された場合、社会にどのようなことが起きるか、人々は「格差是正」を耳にして名状しがたい不安を感じ取るのではないだろうか。
さまざまな理由で世を拗ねる人達などは、当たり前のごとく声高に「格差是正」という言葉を発する。ほとんどの国民はこの甘い言葉に騙され、賛同しがちであるが、国のリーダーは軽々にそうした間違った考え方に乗ってはいけないのである。大部分の国民は、自分の努力の積み重ねで広い意味での人生の競争に勝ち抜き、政府の言うことを素直に聞き、税金を納めて、社会の安寧秩序の維持に貢献している。自由民主党は、政権政党としてこうした人達の意向を踏まえ、それを中心に施策を構築しなければならない。
最近の株式相場の低迷は、国民のこうした願望を素直に表明した結果であると考える。