「いや往生際悪いっつーか……そもそもそれが違うっつーの」
「意味わかんねえよー」
……意味わからないのはどっちだよ、と心底溜息を吐く。
突然だが、俺には好きな人がいる。勿論今話してるこいつ、白石もそのことは知ってる。だが、こいつはそれが誰だか知らない。
それを当てようとして白石は躍起になっているのか、当てずっぽうに言っては机をガタガタ鳴らして文句を垂れていた。
「……んで、まだ続けるのか?」
「当たり前だろ!当てるまで続ける」
そもそも他学年にこそ縁はないけど同学年の恋愛事情に精通してる俺が知らないのがおかしいんだ、と白石。
「嘘だろ……まじかよ」
「分かったらさっさと吐けー!!」
「だが断る」
「くそー……」
正直、どうでもよくなってきた。もともとだけど。こんなことしてるよりも、早くあいつに会いに行きたい。
「ごめん、もう俺部活だから行くわ」
「そんなー」
明日はあててやるからなー、と手を振る白石に内心謝りながら俺は教室を後にした。
白石は俺の好きな人を知らない。誰かを、じゃなくて、あいつの存在自体を。だから当てられるはずもないんだ。
だって、俺が好きなのは……俺の、後輩だから。
俺が視ていた世界がその頃からぶっ壊れていた、というのに俺が気づくのは、もう少し後の話である。
